県県土整備部は4日、第3回木更津港長期構想検討会を木更津商工会館3階木更津商工会議所研修室で開催した。長期構想の基本理念に「世界と繋がる木更津港〜地域とともに〜」を設定。富津地区で、大型自動車専用船に対応した岸壁整理および埠頭用地の確保などに取り組む。木更津南部地区では、RORO船に対応した岸壁の整備、大型化するガット船に対応するための岸壁増深、物流施設の新設に向けた保管・流通施設用地の確保、クルーズ船・大型プレジャーボート専用岸壁の整備、大規模地震に備えた耐震強化岸壁の整備などを進めていく。さらに全地区で、安全な航路水域を確保するための維持浚渫や港湾施設の長寿命化対策などを図る。
今後は、11月の第4回で長期構想案について検討し、2025年1月にパブリックコメントを行い、3月の第5回検討会を経て長期構想を策定する予定。
木更津港の将来像に「県内産業と首都圏の経済活動を支える木更津港」「ウォーターフロントを生かした国内外の人々でにぎわう木更津港」「自然と調和し脱炭素社会へ貢献する木更津港」「安全・安心な暮らしと経済活動を支える木更津港」を掲げた。
将来像に対応する基本方針は▽県内産業と首都圏の経済活動を支える木更津港=自動車の海上輸送拠点の形成、RORO貨物の受け入れ拠点の形成、公共バルク貨物の物流機能向上、物流活性化のための物流用地の形成▽ウォーターフロントを生かした国内外の人々でにぎわう木更津港=港を生かしたまちづくりとの連携による一体的なにぎわい空間の創出、クルーズ船などの受け入れ拠点の形成▽自然と調和し脱炭素社会へ貢献する木更津港=東京湾内に残された貴重な自然環境の保全、カーボンニュートラルポートの形成▽安全・安心な暮らしと経済活動を支える木更津港=激甚化する自然災害に備えた防災拠点機能の拡充、船舶の航行安全の確保、老朽化した港湾施設の維持管理――となっている。
大型自動車専用船に対応した岸壁整理および埠頭用地の確保に向け、木更津南部地区で行っている完成自動車の取り扱いについて、将来的に富津地区への機能集約を図る。
また、木更津南部地区のH岸壁に隣接する形で、RORO船に対応した新規バースを検討。
大型化するガット船への対応に関しては、利用者から木更津埠頭物揚場の岸壁増深の要請がある。
港湾貨物や木更津港周辺地域からの貨物を集荷・保管し、背後地域の商業施設などに配送する機能を持った保管・流通施設用地を検討。一部を除き、木更津南部地区の水面貯木場を埋め立てることで、用地の確保を目指す。RORO船への対応を想定し、小口貨物積み替え施設やリーファープラグの配置を検討する。
将来、大型クルーズ船は既存岸壁を活用しつつ、バース調整に応じてRORO船対応の新規バースで受け入れを行う。小型・中型船および大型プレジャーボートは、潮浜埠頭および潮浜公園のエリアに専用岸壁を整理することで、受け入れ拠点の形成を目指す。
東日本大震災では、フェリー、RORO船の活用による緊急車両・支援物資・人員の輸送、炊き出し、入浴施設および宿泊施設の提供が行われたことなどから、災害時にこれらの船舶の入港に対応できる耐震強化岸壁の整備が重要となっている。
冒頭、あいさつに立った池口正晃部長は「木更津港のさらなる活用を目指し、港湾計画を見直すこととしている。計画の見直しに先立ち、長期構想の検討を進めている」と趣旨を説明し、「本日は、ゾーニングや取り組み施策について審議いただく」と話した。
事務局がゾーニングや将来像などを説明した後、複数の委員から、大型プレジャーボートなど船舶の寄港の増加による事故の発生を懸念する声が上がった。
会長の渡邉豊・東京海洋大学大学院教授は「長期構想の本筋ができあがった」と評価した上で、計画段階で考慮すべきピンポイントな意見・要望については事務局に一任し、まずは基本構想の素案を取りまとめ、第4回検討会およびパブリックコメントに進んでいきたいとした。