令和6年度京都府知事・市町村長会議が5月30日、京都市内で開催。災害対応と大阪・関西万博の2つのテーマについて、知事と市町村長が意見交換した。
京都府の西脇隆俊知事は、能登半島地震について触れ「今回の経験、教訓を今後の災害対応に生かしていきたい」と述べ、大阪・関西万博について「京都推進委員会を開催し、アクションプランのバージョン2を決定していただいた。今後、このアクションプランの中身を具体化する。万博開催期間中にはアクションプランに基づく様々な取組を国内外に広く発信していきたい。これらの取組は市町村と力を合わせて、さらには企業や団体とオール京都で取り組まなければいけない」と述べた。
京都府市長会会長の奥田敏晴城陽市長は「能登半島地震では地理的条件や過疎が進む地域の課題が浮き彫りになっているが、その根底には住宅やインフラの老朽化の問題がある。住宅や水道の更新や耐震補強を進めることは、能登半島固有の問題ではなく、全ての地域の課題だと考えている」、京都府町村会会長の吉本秀樹伊根町長は「コロナ禍で見えてきたものの一つとして、東京一極集中、都市部への人口集中の危うさがある。その危うさを回避して、持続可能な日本社会、地域社会を構築していくためには、地方の農山漁村、地場産業に重きを置いた分散型低密度社会の構築が望まれる」などと述べた。
テーマの一つ、災害対応についての主な要望として、山崎善也綾部市長は「綾部市の集落も谷筋にあり、そこに行く幹線道路が1本というところがある。その先には耐震化の進んでいない木造家屋があり、そこに多く住んでいるのは高齢者ということで本当に他人事ではない。そういう意味で幹線道路の拡幅整備はもちろん必要だが、避難路が絶たれた場合には、空路の避難の重要性というものを感じており、救助用のヘリポートなどの設置も必要不可欠。私が市長になってもう15年になるが、大小含めて6度ぐらい大きな災害が発生し、それだけ災害が頻発化しており、激甚化している。ただ一方で国土強靭化事業をした所はしっかり守られている。砂防堰堤でしっかり流木、土砂の被害が避けられたということもある。ここはしっかりその効果というものを検証し、PRしていかなければいけない。一方、河川の支流など強靭化対策が手薄なところは被害が起きている」などと述べた。
西谷信夫宇治田原町長は「上下水道については耐震化の面で見直さなければならない。宇治田原町の浄化センターは、平成7年の阪神・淡路大震災以前の設計で、耐震対策が必要となるが、耐震化には多くの費用がかかる。今後の人口減少も踏まえる中で、やはり広域化による基盤の強化に期待をしている。支援をお願いしたい」、中山泰京丹後市長は「山陰近畿自動車道を一日も早い全線開通について、さらに加速してほしい」などと述べた。
西脇知事は「半島部で孤立している所は海からのアプローチ+ヘリコプターで救助したということが非常にたくさんあった。全部を道路でつなぐということは大変なのと、半島周回道路を本当の強靭化にするには地形状もなかなか難しいということなので、まずは命を守るということに立てば、空路も含めて孤立集落をいかに早く解消するか、又は出さないということは次の大きな課題だと思っている」「新名神が若干開通の遅れが出ているが、いずれ開通するということであれば、山陰近畿自動車道は京都府内における最大のミッシングリンクである。必要なことは、いかに早くどのようにして全線供用させるかということのために、知恵も汗もかいていきたい」「花折断層以外の断層についても、各市町村で最大の被害が発生することが予想される主な9つの断層については、被害想定の見直しを行うべく準備検討を進めている」などと回答した。