国土交通省近畿地方整備局をはじめ関西地区の各発注機関と日本建設業連合会との2024年度公共工事の諸課題に関する意見交換会が5月31日に開かれ、働き方改革の推進をはじめ、品確法の的確な運用、生産性向上、担い手確保といった4テーマについて意見を交わした。
あいさつの中で、近畿地整の長谷川朋弘局長は「建設業は地域の安全の守り手であり、(建設業の)持続可能で安定的な経営が地域の安全・安心の確保にも不可欠。そのためにも予算の安定的な確保が重要だ」との考え方を示し、「防災・減災、国土強靱(きょうじん)化のための5か年加速化対策に続く、国土強靱化実施中期計画の策定が必要」と述べた。
働き方改革については、近畿地整が月ごとの週休2日土日閉所の標準化に取り組んでいるとし「国がリーダーシップをとって地方公共団体などに働きかけていく」とした。
日建連の押味至一土木本部長は1月1日に発生した令和6年能登半島地震や気候変動により頻発する風水害について触れ、「国土強靱化対策の必要性やその実現に建設業が担う役割は大きい」と話した。
担い手確保については、「若年層を中心とした将来の担い手確保が最重要課題だ」と危機感を示した他、働き方改革について「これまで取り組んできた改革と生産性向上の一層の強化が求められている」とした。
意見交換では、働き方改革推進について日建連が「週休2日を取得しても現場の約67%で時間外労働の原則ルールを超過、約26%で三六協定の特別条項に抵触している」と指摘。また、時間外労働発生要因のうち約8割が書類作成にあるとし、書類作成マニュアルの周知徹底やワンデーレスポンスの徹底を求めた。これに対し近畿地整は、「土木工事書類作成スリム化ガイド」や「受発注者コミュニケーションガイド」を発注担当者・監督職員向けの説明会などで周知徹底を図るとした。
生産性向上の点では、BIM/CIMの活用を国土交通省以外の発注工事でも拡大することを要望。大阪府は4月に試行方針に基づき土木工事にも適用することとし、今後全案件に適用することなどを共有した。
担い手確保の面では、建設業全体の魅力発信のため、受発注者協働による広報や啓発活動を日建連が依頼した。兵庫県は国と県、建設業団体、工業高校関係者による「兵庫県建設業育成魅力アップ協議会」の設立や、工業高校への魅力説明会、小中学生向けのイベントの実施状況について示した。
※写真は建通新聞電子版に掲載中
提供:建通新聞社