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北陸工業新聞社
2024/06/03

【石川】interview2024/震災復興やダム事業など/「地域振興に全力尽くす」/清水建設北陸支店/執行役員支店長角野淳一郎氏/オール清水の価値を提供/海外や営業の経験が今、生きる

 能登ヒバを使った耐火木鋼梁大空間から2階で働く支店スタッフの様子を眺めながら、「完成から3年が経過し、試行錯誤しながらフリーアドレスにかなり慣れてきたようだ」と副支店長時代、心血を注いだ超環境型オフィスに手応えを感じているのは、4月に清水建設北陸支店の執行役員支店長に就任した角野淳一郎氏だ。

 直近2代、土木畑出身の支店長の下、建築系副支店長として辣腕(らつわん)を奮ってきた。太陽光発電によるエネルギーを水素変換・貯蔵し、電力需要に応じて放出、発電するハイドローキュービックなどの省エネシステム、柔軟な働き方を誘発するワークエリアを有する支店オフィスには「これ以上のものは造れないのかも知れない」との自負心は、時間とともにより強くなっている。
 1月に発生した能登半島地震では「元日夕方から震災対策本部が立ち上がり、全国から土木技術者が集結した。輪島市では4月の大型連休前に海岸部の隆起した場所に道路を仮復旧したほか、能越道では現在も、のと里山空港近くの道路復旧にあたっている」と述べ、過酷な作業環境を鑑み、「現地担当者が風呂に入れるよう、仮設事務所に入浴設備を設けた」という。
 管内の新潟、富山、石川、福井4県の受注環境について「土木事業では福井の足羽川ダムに続き、富山で利賀ダムを受注できた。難易度は高いが、地元の思い入れも強く、生産性向上を図りながら、地域の活性化に貢献していきたい」と述べ、今後の見通しでは「半導体関連をはじめ、欧州や北米にクライアントを持つ機械、ジェネリック薬品の投資が期待できる」とみる。2024年問題、資材高騰などの影響から大型プロジェクトに対しては、「BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を活用しながら、早い段階に上流側から関与することで大手ゼネコンにしかできない価値、オール清水の力を提供したい」と強調する。
 生産性向上には副支店長時代から確固たる信念で取り組んできた。「かつては受注した工事の消化体制整備に苦労していたが、ようやく目標とする規模に対応できる態勢づくりが整ってきた」と地道に続けてきたキャリア採用の成果に自信を覗かせる。
 加えて2007年から3年余り、シンガポールやドバイでの経験則が今、現実のものとなってきた。「直庸の外国人労働者へ建設業の仕事を一つひとつ教えながら、日本の建設業も将来、こうなるのではないかと感じていた」と振り返り、職人不足の懸念が続く中、「CCUS(建設キャリアアップシステム)など個々の職人のインセンティブを上げていくことは重要」と業界全体を視野に入れた担い手、人材確保策には余念がない。

 かくの・じゅんいちろう 1964年生まれ、福井県出身。福井大工学部建築学科卒。88年、清水建設入社。国際事業本部海外支店工事長などを経て、2013年から北陸支店建築部長、18年から北陸支店副支店長を務め、4月から現職。趣味はゴルフ。

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