名古屋市住宅都市局は、中川運河の再生で2024年度、にぎわいゾーンに位置付けている堀止〜松重閘門〜長良橋エリアの拠点形成に向け、名古屋港管理組合や名古屋まちづくり公社と連携して社会実験を行う方針だ。社会実験の成果を踏まえて、開発具体化に向けた検討を進める見込み。臨港地区における立地可能業種の拡大など、現行ルールの見直しにも着手していて、実施可能な方策から実行していきたいとしている。
にぎわいゾーンでの拠点づくりは、堀止地区で市有地を活用した開発提案募集を23年に実施。26年春ごろの開業が見込まれている。
堀止地区に続く拠点と位置付けているのが、長良橋上流左岸にある更地と松重閘門周辺エリア。
長良橋上流左岸敷地は、もとガソリンスタンドがあった箇所で、面積は約3200平方bある。周辺には名古屋港管理組合が行った事業提案募集で、富士コーヒーや愛知ドビーが出店している。
この更地は「広大な水辺におけるにぎわい創出の場」と位置付け、交流創造拠点の形成を目指している。社会実験の内容は検討中としているが、市と名管、公社が連携して社会実験を秋ごろから実施する見通しだ。社会実験を踏まえて、拠点に必要な機能や運営の方法など、同敷地のあり方を整理し、今後の検討につなげる方針。
市文化財の松重閘門周辺では、今年4月に新松重ポンプ所が稼働を開始。松重閘門とともに、旧ポンプ所建屋を昭和初期の歴史資産として活用を検討している。社会実験では、旧施設でどういった使い方ができるかなど、イベントを通じて把握していく。社会実験の実施は同じく秋ごろとなりそうだ。
旧ポンプ所建屋は、1937年に完成。規模は、鉄筋コンクリート一部鉄骨造地下1階地上平屋建て延べ729平方b。一部、当初建屋に増築されている。
松重閘門周辺エリアは社会実験の他、民間活力の導入検討業務を行う計画だ。
同局はこれまで、松重閘門を改修して船が通行できる環境整備について、複数年間にわたり検討を実施してきた。同局の説明によると、これまでの検討で松重閘門改修のハードルは高く、相当額の改修費用が必要など、まだ課題があるようだ。
また、堀止地区でも社会実験を実施する考え。同地区西側の緑地(完成済み)約1万平方bを対象に、公共還元型の港湾緑地等の導入も視野に入れており、名古屋港管理組合と社会実験を行い、次の展開に備える考え。
公共還元型の港湾緑地等は、民間事業者が収益施設の整備とその収益を還元して緑地などのリニューアルを行う場合に、港湾緑地などの行政財産の貸し付けを可能とする認定制度。港湾版のPark−PFIといえるが、事業期間はおおむね30年以内(Park−PFIは20年以内)とより長期で、収益施設の建ぺい率に規制がない、などの違いがある。
提供:建通新聞社