2025年日本国際博覧会協会は5月30日、定例記者会見を開き、若手建築家が設計を担う万博会場内の休憩所やトイレなど20施設のイメージパースや設計コンセプトを公開した。19施設で施工者が決定しており、残る1施設についても現在公告中としている。
万博を若い世代の活躍、飛躍のきっかけとする狙い。対象施設は万博会場内のギャラリー(1棟)、展示施設(1棟)、ポップアップステージ(4棟)、サテライトスタジオ(2棟)、トイレ(8棟)、休憩所(4棟)の計20施設となる。
グリーンワールド工区内に建設される展示施設は、小室舞氏(KOMPAS JAPAN一級建築士事務所)が設計を担当。万博のテーマである「非中心・離散」、「多様でありながら、ひとつ」の会場構成の特徴を取り入れ、夢洲の湿地帯をイメージした中庭の周りに展示やイベントが行われるユニット群を配置。各ユニットをつなぐリング状の通路を設けることで、来場者が自由に展示を回遊できるようにした。
壁面は緑が絡む蛇篭とし、雨水を循環利用する。ランドスケープと建設が結び付いた中庭ではこれからの環境空間の実践を試みるとしている。規模は鉄骨・木造平屋約1231平方b。
この他、廃棄素材から制作するベジタブルコンクリートを用いたギャラリーや大阪城再建に利用されなかった「残念石」を活用したトイレなどが建設される予定だ。
〜タイプAパビリオン 31カ国が着工〜
会見では、最新の会場建設の状況についても共有された。大屋根リングの建設は木造部分の約9割が完成。参加国が独自で建設する「タイプA」パビリオンについては、53カ国のうち39カ国で施工者が決定し、31カ国で着工済みとなっている。
タイプAからタイプC、タイプXに移行した国もあることから余剰地の活用について質問された石毛博行事務総長は、最終的な活用方法は決まっていないとした上で、「(芝生や休憩所など)何らかを整備する可能性はある」と述べた。
会見ではこの他、3月28日にグリーンワールド工区で建設中のトイレで発生したメタンガスによる爆発火災を受け、海外や民間パビリオンが集まる「パビリオンワールド」工区でのメタンガスの濃度の再検証結果を公表した。
4カ所でメタンガスを検出したが、労働安全衛生規則で火器の使用禁止や労働者の退避が求められる(30%LEL)の4分の1以下のため、工事は継続している。
協会は、濃度や検出箇所などを検証し、会場全体の安全対策を6月中をめどにまとめるとしている。
※展示施設のイメージパースは建通新聞電子版に掲載中
提供:建通新聞社