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建通新聞社(東京)
2024/06/03

【東京】都内建設業労災 死亡、3年ぶりに減少

 厚生労働省東京労働局がまとめた2023年の労働災害発生状況(確定値)によると、東京都内の建設業では23年の1年間に17人が死亡、1099人が死傷した。死亡者数は前の年の22年に比べ9人少なく、3年ぶりに減少に転じた。一方、死傷者数は前年より11人多く、2年連続で増えている。東京労働局は業界の取り組みが死亡者数の減少につながったと評価しつつも、依然として「墜落、転落」災害が多発していることを問題視。7月1〜7日の全国安全週間に合わせて建設現場の集中指導などを実施して、業界に労働災害防止対策の徹底を求めていく。
 23年に建設業の労働災害で死亡した17人の業種別内訳は、土木工事業が3人(前年比1人減)、建築工事業が11人(3人減)、その他の建設業が3人(5人減)で、いずれも前年を下回った。事故の型別では「墜落、転落」の6人(8人減)を筆頭に、熱中症を分類する「高温・低温の物との接触」が3人(2人増)、「おぼれ」が2人(2人増)、「飛来、落下」が2人(前年と同数)などとなっている。
 一方、死傷した1099人の業種別内訳は、土木工事業が189人(13人増)、建築工事業が698人(29人増)、その他の建設業が212人(31人減)で、土木工事業と建築工事業の増加が全体を押し上げた。事故の型を見ると「墜落、転落」が341人(6人増)で死亡と同様に最も多く、起因物は▽「はしご等」=124人▽「足場」=40人▽「トラック」=31人―などだった。「はさまれ、巻き込まれ」の116人(21人減)、「転倒」の112人(18人減)、「飛来、落下」の106人(22人)が続いている。
 東京労働局では23年の7月から8月上旬にかけて熱中症などで死亡者数が急増したため、業界に労働災害防止対策の徹底を緊急要請。また、9月に鉄骨梁が落下して6人が死傷したことから、鉄骨建方作業などの安全総点検を求めていた。
 東京労働局の美濃芳郎局長は確定値を発表した5月31日の記者会見で、死亡者数が前年を下回ったことについて、緊急要請などを踏まえた「業界の取り組みの結果だ」と評価。フルハーネス型安全帯に関わる特別教育や危険有害作業の無人化、VRを用いた作業手順の理解などの安全衛生管理活動を例示した。
 ただ、死亡、死傷のいずれも「墜落、転落」災害が全体の3割以上を占め、比較的低い位置から落ちて被災するケースが多い点を指摘。全国安全週間に合わせた建設現場の集中指導で重点的に点検する構えを見せた。対象現場数は「前年の規模(721現場)を踏まえて検討」する考え。提供:建通新聞社