多賀町は、多賀町ため池ハザードマップに基づき耐震化に向けた改修整備を計画する尼子地区が管理する敏満寺地先の「尼子池」について、事業計画作成を含めたコンサル業務を22年度完了後、23年度着手した事業採択に向けた申請手続きの最終段階を進めており、6〜7月の県の最終審査を経て24年度の正式な事業採択となる見通し。所管は県となる見通しで正式採択後、24年度県湖東農業農村振興事務所から詳細設計が発注され、25年度にも同じく県湖東農振から初弾工事の発注・着工となり、27〜28年度までの3〜4ヵ年での施工完了となる見通しだ。
多賀町は24年度当初予算案で土地改良事業費総計3341万2千円に、尼子池の耐震対策で行う測量および設計業務の県営事業の町負担分をはじめ、前野池の耐震対策の24年度分事業費や高宮池の設備導入費などをそれぞれ措置。
「尼子池」(敏満寺字背戸山地先)は、農業用水の確保を目的に、谷をせき止めて築造され、現在は利水はもとより動植物の生息・生育環境としての貴重な役割を担っている。池の規模は堤長35b、堤高8・6b、満水時水深7・1b、貯水量約1000立方bで築造時期は不明。22年度発注・完了した尼子池改修設計業務は、地質・土質調査、現場透水試験・室内土質試験、横断・縦断測量、設計業務―を行った。担当はパスコ滋賀支店(大津市)。
機能維持のための取水施設の改修は過年度に行われているが、施設の耐用能力を超える大雨や大規模な地震が発生した場合、堤防が損傷を受け決壊に至る可能性がある。万が一ため池が決壊した場合、池の下流には短時間で大量の水が押し寄せる危険性が「多賀町ため池ハザードマップ」で指摘されており、防災・減災に向けた耐震化など改修整備計画の作成を決定。また池の近くには後から整備された名神高速道路が通り、下流域には人家が多数ある事なども懸念材料となっている。
20年3月作成の「多賀町ため池ハザードマップ」におけるはん濫シミュレーションでは、尼子池のごく近くの範囲では建物1階の水没やW造家屋の流出の危険性が高い「危険度V」、それ以外の一帯では床下浸水程度の「危険度T」を示している。
提供:滋賀産業新聞