建設新聞社
2024/05/27
【東北・岩手】デサントが水沢工場建て替え
スポーツ用品大手のデサント(大阪市浪速区港町 小関秀一代表取締役社長)は、コーポレートブランド「デサント」のモノづくりの中核を担う、岩手県奥州市のデサントアパレル水沢工場を建て替える。24日には現地で地鎮祭が行われた。施工は千田工業(岩手県北上市)が担当。2025年7月ごろの稼働開始を見込む。
奥州市胆沢小山北蛸ノ手10地内の水沢工場はS造2階建て、延べ3400平方b。1970年に操業を開始し、主力製品の「水沢ダウン」を中心としたアウターウエアを年間約2万5000枚製造している。施設の老朽化に加え、生産効率の向上やトレーサビリティの強化などを踏まえ、建て替えを計画した。
新工場は既存工場の敷地内に建設。規模はS造平屋建て、延べ5098・87平方b。断熱性、気密性の高い設計に加え、胆沢扇状地の地下水を利用した輻射熱冷暖房設備を導入。外壁や休憩室の床、家具などに県産木材を使用するとともに、三角形の屋根の外観は周辺地域で見られる木造の蔵からインスピレーションを得ており、周辺の美しい風景との調和を考慮した地域密着の工場を目指す。
広さは既存工場の約1・5倍。これまで複数棟で行っていた工程がワンフロアで可能となり、動線も改善されるほか、バリアフリーで安全性も向上し、効率的な生産、質の向上が図られる。
また、従業員の9割が女性のため、多様なコミュニケーションが可能となるラウンジの設置や、洋式トイレの増設など働きやすい空間を確保し、地域の雇用創出と次世代への技術継承を目指す。
設計はアトリエブンク(札幌市)が担当。設備は南部電気工事、近藤設備、植栽は御幸造園といずれも地元企業が施工を担当する。総投資額は約30億円。
式典には関係者約50人が出席。アトリエブンクの菅沼秀樹代表取締役社長が鎌入れ、小関社長が鍬入れ、千田工業の千田弘美代表取締役社長が鋤入れを行うとともに、関係者が玉串を捧げ工事の安全を祈願した。
小関社長は「世界は大量消費大量生産の流れだがデサントは一線を画し、日本ならではのモノづくりにこだわっている。奥州市の素晴らしい景観に見合う工場とし、従業員も心地よく働ける環境作りを考えた」と話し、千田社長は「環境、従業員、地元を重視する工場となる。既存工場が稼働する中での工事となるため安全や周辺環境に配慮しながら進めたい」と語った。
提供:建設新聞社