5月23日に大阪市鶴見区で開かれたインフラメンテナンス市区町村長会議近畿ブロックの第3回総会で、「インフラメンテナンスにおける人材不足・人材育成に関する課題と取り組みについて」をテーマとした意見交換会が行われた。インフラメンテナンスを進めていく上で基礎自治体が直面する人材確保や技術の継承などの課題、人材育成などの取り組みについて情報を共有、意見を交わした。
コメンテーターを土木学会関西支部の大西正光・京都大学大学院工学研究科教授、コーディネーターを近畿地方整備局の小島優企画部長が務め、同会議の企画委員を務める兵庫県養父市の広瀬栄市長ら5人の自治体トップがパネリストとして参加した。
インフラメンテナンスにも携わる土木技術者の人材不足、育成などについて話が進む中、養父市の広瀬市長は「従来の方法を見直し、人を引きつける魅力的な業界の在り方、公共調達の方法についても考えていくことが必要」と提案。大津市の佐藤健司市長は「これまで道路施設の紹介はあっても、インフラを支える“人”の紹介というものがあまりできていなかった。次代を担う学生の心にも刺さるように、インフラを支える技術者の紹介にも取り組みたい」と話した。
京都府京田辺市の上村崇市長は「もともと街づくりとは夢のある楽しいもの。課題はあるが、これからも夢を持って街を造っていけるということを伝えていくべき」と訴えた。これに対し、和歌山市の佐藤哲也副市長は「上下水道、生活道路といった生活に密着したインフラを管理している。インフラの大切さを訴える“インフルエンサー”として活動していきたい」と呼応した。
また、東大阪市の野田義和市長は「私たちが子どものころは、映画『黒部の太陽』などを学校で観て、建設業を志す人がいたが、今はそういったこともない。インフラメンテナンスを誰もやらないという危機感を共有することが必要だ」と警鐘を鳴らした。
これらを受け、大西教授は「危機感を持つことは大切。危機をチャンスと捉え、土木技術者の重要性を訴えていくべき」と強調した他、「人とインフラの関わり方を進化させる必要がある」と述べた。最後に、「情報を共有し、互いの取り組みを比較するこういった機会は重要。また、それぞれが我がこととして関わっていくことで解決できることに気付くことが大切だ」と結んだ。
※写真は建通新聞電子版に掲載中
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