国土交通省四国地方整備局と高知県は、仁淀川水系河川整備計画の変更原案をまとめた。おおむね30年間の整備内容を示した計画を2013年12月に策定し16年12月に変更したが、気候変動の影響により全国で水災害が激甚化、頻発化していることを受け計画を見直した。八田堰改良などの洪水を安全に流下させる対策や、伊野箇所での堤防強靱(きょうじん)化といった施設の能力を上回る洪水を想定した対策を実施する。
気候変動の影響を踏まえ、流量が増加しても安全に流すことができるよう、目標流量を変更する。そのため、流下能力が不足する区間で河道内の樹木伐採や河道掘削を実施する。
八田堰の改良も実施する。利水機能の保持や自然環境・景観を踏まえた構造を検討し、土砂堆積など維持管理面の影響も踏まえる。
また上流部の洪水調節機能の確保に向け、遊水地や既設ダムの有効活用を中心に、必要な調査・検討を行い、遊水機能を生かした貯留効果が見込める区域では、地域住民の意向や地域経済活動、環境面の影響を考慮し遊水地を整備する。
県管理区間でも、波介川や長竹川で必要な流下能力確保に向けた堤防整備などを実施する。
施設の能力を上回る洪水を想定した対策も実施する。伊野箇所では護岸整備や高水敷確保による堤防の強靱化を進める。また災害時に緊急復旧活動や水防活動を速やかに行う拠点となる「河川防災ステーション」を整備する。
流域のあらゆる関係者による流域治水も推進する。多様な主体による森林の整備・保全、砂防関係施設の整備、水害リスクや避難に関する情報提供、防災意識の啓発などの対策を行う。波介川、宇治川、日下川では特定都市河川浸水被害対策法の適用や「田んぼダム」の推進、旧川跡の雨水貯留活用などさらなる治水対策を実施する。
河川環境の保全・創出に向けたグリーンインフラや、河川を軸とした生態系ネットワーク形成の取り組みを進め、治水と環境の両立を目指すことも明記した。
四国地方整備局と県では今後、「流域住民の意見を聴く会」やパブリックコメントを通じて意見をまとめ、計画に反映させる方針。
提供:建通新聞社