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建設経済新聞社
2024/05/23

【京都】南区役所庁舎整備の市場調査結果 スーパーなどとの合築多く占める 必要面積は約6140u、合築で更に削減も

 京都市は22日、南区役所の庁舎整備の市場調査の結果を明らかにした。
 市は、令和5年度に公募型プロポーザル方式で「時代に即した区庁舎整備のあり方検討調査(南区役所)業務委託」について、山下PMC(東京都中央区)を受託事業者に決め実施した。
 文化市民局が市会文教はぐくみ委員会に報告した内容によると、調査項目は、@現在の南区総合庁舎敷地の活用の可能性A旧健康増進センター建物の利活用の可能性B民間ビル又は民有地等への仮移転の可能性の3点で、第1次を令和5年8月1日〜9月4日、第2次を令和5年10月17日〜12月8日に実施。サウンディング応募事業者は、上記@及びAは11事業者、Bが2事業者。
 事業スキームに関する提案をみると、A社・D社・F社・G社は現南区総合庁舎敷地について「土地…売却、建物…事業者が新築(区庁舎はテナント入居)」「用途…区庁舎とスーパー・共同住宅等(合築)」、旧健康増進センターについて「土地…売却、建物…解体のうえ、事業者が新築」「用途…共同住宅」。
 B社は現南区総合庁舎敷地について「土地…京都市所有(事業者へ定借)、建物…事業者が新築」「用途…スーパー他」、旧健康増進センターについて「土地…京都市所有(事業者へ定借)、建物…解体のうえ、事業者が新築(民間事業者所有、京都市へ賃借(20年間)、賃借期間終了後、京都市に権利譲渡)」「用途…区庁舎他」。
 C社は現南区総合庁舎敷地について「土地…売却、建物…事業者が新築」「用途…共同住宅」、旧健康増進センターについて「土地…売却、建物…売却のうえ、事業者がリファイニング(京都市に一棟貸し)」、「用途…区庁舎(建物活用)」。
 H社は現南区総合庁舎敷地について「土地…売却、建物…事業者が新築(区庁舎はテナント入居)」「用途…区庁舎とスーパー等(合築)」、旧健康増進センターについて「土地…売却、建物…売却のうえ、事業者が改修」「用途…病院健診センター(建物活用)」。
 市場調査のまとめとして、@現在の南区総合庁舎敷地の活用については、商業施設(食料品・日用品等)、子育て世帯向け住宅を誘導するのであれば、複数の民間事業者が参入を検討する可能性が示された。ただし、現状の高さ制限と日影規制の下では、これらの施設に区役所庁舎を加えるだけの十分な建築ボリュームを確保できないことに留意が必要。
 A旧健康増進センター建物の利活用の可能性については、複数の活用案が提示されたが、実際の活用に結びつけるためには、条件面での折り合いが付くかどうかを丁寧に詰めていく必要(がある)。引き続き、事業者との対話を丁寧に深めていく。
 B民間ビル又は民有地等への仮移転の可能性については、民間ビル・民有地への仮移転の可能性は示されなかった一方、中長期的な移転受入の可能性について民間ビルへの移転には以下のような可能性と留意点が考えられる。[可能性]▽来庁者の交通の便が良い立地を選べる可能性▽大規模なビルに入居することで、機械室等の共用や維持管理費の割り勘効果により、自前で庁舎を整備するよりもライフサイクルコストを低減できる可能性▽将来、DXの進展等によって区庁舎の在り方が変化した際に、柔軟に対応できる可能性。[留意点]▽地震等の災害時の対応について、ビルオーナーとの協定締結や、災害対策本部機能のバックアップ施設を確保する必要性▽選挙の際の開票場所やX線室等の特殊な設備機能が確保できるか否かも含めた調査、検討が必要。
 事業スキームについては、現南区総合庁舎及び旧健康増進センター両土地とも「売却」の提案が多かった一方、1事業者からは両土地ともに「定期借地(20年)」の提案もあった。今後、施設の概要を概ね確定させた段階で、土地の権利関係と整備手法を勘案して、ライフサイクルコストを比較する必要がある。なお、サウンディング型市場調査は、限られた情報の中で事業者が事業スキーム等を提案するものであり、今後の検討に基づく条件設定や社会情勢の変化等によって、実現可能性が左右されることに留意が必要。
 必要面積の検討では、○行政手続きのオンライン化・デジタル化の進展により約10%の削減を想定(▽将来的に待合スペースや倉庫面積のダウンサイジングが可能▽過去に実施したICT等導入調査の調査結果を基に試算。現在の南区役所のスペース約7000u→約6140u)○柔軟な利用形態による専用面積削減の検討(▽待合や会議室等、多用途での利用が可能なスペースを有効活用(稼働効率が高い施設へ))○合築施設とする場合の検討(▽大規模施設との合築施設とする場合、機械室等の共用部分が不要→更に1900u削減)○システムの標準化、業務の集約化により、将来的には更なる空きスペースの発生も想定(▽柔軟な庁舎形態を検討する必要)。
 令和6年度は、区民との対話を重ね、未来の南区役所将来像、現区役所エリアに求める都市機能について検討を進める。市若手職員による検討チームを設置し、行政サービスを提供する側の視点から未来の区役所像を検討する。
 また令和5年度のサウンディング型市場調査の結果を踏まえつつ、事業者との対話を継続する。
 なお現状は、南区西九条の現南区総合庁舎・旧健康増進センターともに京都市が所有。建物は現南区総合庁舎は京都市とUR(都市再生機構)による区分所有。旧健康増進センターは京都市が所有。
 当該エリアの用途地域は、国道1号から25mが近隣商業地域(建ぺい率80%、容積率300%)で高さ制限が20m。その他が第二種住居地域(建ぺい率60%、容積率200%)で高さ制限が20m。現状は、現南区総合庁舎が建ぺい率54%、容積率400%で高さが31m。旧健康増進センターが建ぺい率60%、容積率195%で高さが20m。