県は21日、PFI手法で整備する新県立体育館の建設に関し、昨年12月に示した施設整備費約190億円が、物価上昇などの影響により約200億円程度になる見通しを県政協議会で示した。ここ1年間で人件費の増が大きく、資材も高騰していることが主な要因としている。施設整備費は増額となるが、社会資本整備総合交付金など国の交付金を活用し、県の実質的な負担額は100億円程度(基本計画時約96億円)を目指す。
同事業は、現体育館が令和10年に目標使用年数の60年を迎えるため、八橋運動公園内にスポーツ科学センターの機能を統合した新施設を建設するもの。設計・施工に3年4カ月、維持管理・運営に15年8カ月を見込んでおり、PFI事業は令和25年度に終了する予定。実施方針や整備内容を盛り込んだ要求水準書案を3月1日に公表している。
施設整備費約200億円の内訳は、建物建設費約176億円(基本計画時167.9億円)、造成・外構経費約17億円(同15.9億円)、設計・監理費約7億円(同6.6億円)。また、PFI事業者に支払う維持管理・運営費には約82億円を見込んでおり、このうち利用料金約22億円を収入に充て、実質的な負担額は約60億円としている。
年間の維持管理・運営費は、基本計画で4.2億円(維持管理費2.8億円、運営費1.4億円)としていたが、費用を精査し約5億円(維持管理費約3億円、運営費約2億円)と試算した。
事業費は現時点での見通しで、長期事業のため契約内容に基づきさらなる物価上昇等があれば、事業期間内に金額変更する可能性もあるとしている。6月補正予算に整備運営費の債務負担行為を提案し、7月上旬に総合評価一般競争入札で公告する予定。入札参加資格は設計、建設、工事監理、維持管理、運営の5業務を行う者を含むグループとし、類似業務の元請け実績を求める。
また、現体育館は昭和43年、スポーツ科学センターは昭和54年の建設と古く、アスベスト含有の可能性なども踏まえ、両施設の解体はPFIの対象外としている。解体費は面積などから現時点で約10億円と試算。財政負担削減のため新施設と同様、交付金などの活用を検討する。
提供:秋田建設工業新聞社