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建通新聞社
2024/05/16

【大阪】大阪モノレール延伸 事業費増額などを審議

 大阪モノレールの延伸事業について開業時期を4年程度延期することなどを受け、大阪府は5月14日、2024年度第1回建設事業評価審議会都市整備部会を開いた。府から開業時期の延期理由や事業費増額の要因などの説明を受けた委員からは、前回再評価を審議した22年度と比べ2倍近く事業費が増額することに対し、疑問視する声が挙がった。5月下旬に開く第2回部会で延伸事業の継続や事業費増加の妥当性について、引き続き審議する。
 部会では、事業費を当初の約786億円から約656億円増額し約1442億円とした理由や、開業時期が延期となる原因について説明があった。
 事業費の内訳は、用地・物件補償費が約64億円、調査・設計費が約53億円。工事費では、軌道桁工事が約485億円、支柱・基礎工事が約410億円、駅舎工事が約282億円、その他車両基地整備や街路整備などに約148億円を見込む。また、事業費における負担金も増額し、国は約791億円、府と大阪市、東大阪市、門真市、守口市は合わせて約651億円を負担する。
 開業時期については、瓜生堂駅駅舎の建設予定地を土質調査した結果、地盤が当初より軟弱であることが判明。想定していた大口径場所打ち基礎工法では耐荷重が不足するため、オープンケーソン基礎工法に変更する。工法変更により基礎工事が約4年延長することから、開業時期を29年から33年に変更する。

〜“説明不十分”の声も〜

 部会では、「22年度に同事業を再評価した時点から2年で事業費が増額することに対する説明が不十分」「工法変更による事業費の増額が分かった段階で審議会を開くべきだったのではないか」などの意見があった。また、開業時期の延期に対し「部分開業はできないか」との声もあった。
 この他、事業計画見直し後の採算性については、単年度当初利益は開業14年目の46年度に黒字、累積損失は開業34年目の66年度に解消と見通していることから、事業成立性の目安となる開業後40年以内に累積黒字に転換することから事業採算性が確保できるとしている。
 大阪モノレール延伸事業は、現在の大阪モノレールの終点となる門真市駅から近畿自動車道に沿って東大阪方面に約8・9`延伸する計画で、松生町駅と門真南駅、鴻池新田駅、荒本駅、瓜生堂駅(いずれも仮称)の5駅を新たに設ける計画。
 大阪中心部から放射状に形成された鉄道を環状方向に結ぶことで、府内の鉄道ネットワークを強化するとともに、OsakaMetro長堀鶴見緑地線とJR学研都市線、近鉄けいはんな線、近鉄奈良線と結節し、在来鉄道10路線とのネットワークを形成するとしている。延伸区間では、周辺地域のまちづくりや新たな開発が進んでいる。

提供:建通新聞社