北陸電気工事(本店・富山市小中、山崎勇志代表取締役社長)が発表した2023年度連結決算によると、売上高は過去最高となる533億9800万円(前期比19・1%増)となった。
過去最高だった昨年度からの繰越工事高と新規受注を合わせた前例のない大きな施工量に対し、営業・工事が一体となり、しっかりとした施工管理を行ったこと、前年度から続く積極的なM&Aの効果が実を結んだ。
利益面は売上高の増収に加え、工程管理と原価管理を一層徹底し、全般にわたる継続的なコスト削減による工事採算性の向上に努めた結果、営業利益34億2500万円(同45・3%増)、経常利益36億4500万円(同44・0%増)、当期純利益22億900万円(同35・7%増)となった。営業利益と経常利益は4期ぶり、純利益は3期ぶりの増益。
北陸電工単体の受注高は、戦略的な営業展開により、大都市圏での大型工事の受注が増加。過去最高だった22年度の548億円に次ぐ、過去2番目の受注高となる519億5400万円(同5・2%減)となり、引き続き好調を維持した。
一方、24年度の連結業績予想は、23年度の375億円をさらに上回る過去最高の繰越工事高404億円に加え、カーボンニュートラル実現に向けた再生可能エネルギーの関連工事、前年同様に大都市圏での受注拡大など需要増加が見込まれることから、売上高は23年度をさらに更新する600億円(同12・4%増)を想定。
23年12月に連結子会社となった日建(横浜市)が、年間を通し業績に寄与することも好材料としている。
利益面は、4月から建設業への罰則付き時間外労働の上限規制が適用されたこと、働き方改革を含めた人的投資、DX関連投資など、将来の業務効率化や省力化につながる成長投資を織り込むことから、23年度並みとなる、営業利益32億5000万円(同5・1%減)、経常利益35億円(同4・0%減)、純利益23億円(同4・1%増)とした。
配当は年間で1株につき40円、13期連続の増配となる予定。
社長就任1年目を振り返り、山崎氏は、「少しでも上の段階を目指そうと経営層、社員が一丸となった結果が数字に表れた。能登半島地震もあり、ハードな面もあったが、社員と協力会社、グループ会社がきっちり対応していただいた成果」と述べた。
資機材や人件費の高騰による決算への影響に関しては、「コロナ禍とは異なり、お客様との価格交渉段階である程度理解していただけるようになり、受注額に価格転嫁できている面はある」と説明。大都市圏での受注では、「大阪市発注の新病院電気設備工事(落札額25億5000万円)や神戸大学附属病院の空調管工事など、東京と大阪支店の受注高は前期比41億円増となった」と報告した。
また、山崎社長は、中期経営計画「アクションプラン2024」の進捗状況も説明。「一段高い成長路線へ」を目指すため、SDGsゴールとなる2030年度を長期の目標と見据え、企業価値の向上や持続的成長、SDGs達成などに取り組むとした。
戦略的資金(運転資金除く)として、30年度までに300億円程度を獲得。その資金をM&Aや新規事業、生産性向上に資する設備・技術開発に投資するとともに、従業員と株主還元に充てる。
成長戦略では、DXなどの生産性向上に関する各種取組を進めるほか、売上UPに向け、内線・空調管・情報通信工事の一括受注強化、大都市圏を中心とした事業エリアの拡大、M&Aによるグループ会社の拡大、海外事業展開などを推進することにしている。
なお、同社は10月1日に創立80周年を迎えることから、記念ロゴマークを作成した。
社内投票で決めたもので、0に斜めに走る稲妻は電気を表した。記念ロゴは25年3月31日までの1年間、名刺や各種広告などで使用する。山崎社長は、「記念誌の発行予定はあるが、記念式典は震災の影響もあり、アンケートなどを行い、これから検討していきたい」と話している。