厚木基地周辺の住宅防音工事対象区域の見直しに際し、区域が縮小される可能性がある。防衛省は厚木基地周辺の騒音度調査を2022年度から開始しており、24年度後半まで調査を継続する見通しだ。これまで激しい騒音を発生させてきた米軍空母艦載機が18年3月までに硫黄島航空基地に移駐したことから、騒音状況が変化したと判断。06年1月に告示した第一種区域などを見直す。県によると、区域見直しに関するスケジュールなどの情報は提供されていない。県は今後、関係市と調整し要請活動を実施する。厚木基地周辺住民への情報提供や待機世帯の予算確保について、国に働きかける考えだ。
住宅防音工事対象区域(第一種区域)とは、自衛隊や米軍の航空機による騒音を軽減するために実施する住宅防音工事の助成対象となる区域。厚木基地を中心として南北に広がっており、県内では大和市、綾瀬市、藤沢市、座間市、海老名市、相模原市、茅ヶ崎市の7市が対象。面積は約9200fにも及び、24年1月時点でおよそ23万世帯が立地する。
県内の工事の進捗率は、現時点で約8割。建物本体の防音工事を希望しているが交付申込書が未配布の世帯はおよそ4000世帯に上る。
住宅防音工事対象区域は75WECPNL(W、うるささ指数)以上の区域を指定しているが、06年1月の告示では区域を追加する形で拡大したため、告示日以後に建設した建物が助成の対象外となる「告示後住宅」問題が発生した。1986年告示区域内に所在する86年9月11日〜2006年1月17日までに建設した住宅は、75〜80Wの環境下でも助成されない逆転現象が起こっている。
県や関係市では、建築年次にかかわらない全ての新増築住宅を対象にするよう国に要請しているが、現在に至るまで問題は解決していない。
【WECPNL】
加重等価平均感覚騒音レベル。航空機騒音の特異性を加味し、回数や昼夜の感じ方の差などを考慮した指標。防衛省では、今後の第一種区域などの見直しに際して新たな単位(Lden、時間帯補正等価騒音レベル)を採用するとしている。
提供:建通新聞社