大阪市は4月18日、環境審議会を開き、2023年11月に脱炭素先行地域(※)に選定された御堂筋エリアの取り組みについて報告した。24年度は、民間施設のZEB化やコージェネ(CGS)設備の導入などに着手する予定。この他に、環境基本計画の中間見直しに向けた諮問などを行った。
御堂筋エリア(中央区)では、道路空間再編に合わせ、自立・分散型電源の導入などによる業務継続地区(BCD)の構築や建物のZEB化などを行い、脱炭素の取り組みとの相乗効果により、魅力的な都市の歩行空間の形成と災害時のレジリエンス向上を図る。
地域のエリアマネジメントを行う御堂筋まちづくりネットワークと連携し、エリア内の既存施設や新築予定の施設など計38施設が参画する。主な参画企業と施設は、大和ハウス工業などの(仮称)淀屋橋駅西地区市街地再開発事業(施設建築物)、大阪ガスのガスビル西館(新築予定)、鹿島の武田御堂筋ビル、大成建設の(仮称)本町4丁目プロジェクト、竹中工務店などの御堂ビルディングなど。
出席した委員は「脱炭素先行地域では、農村部などを活用する計画が多く、中心市街地の事例は少ない。成功すれば、他の地域での取り組みのモデルになる」とした上で、「御堂筋エリアを訪れた人が、一目で取り組みを理解できるよう、デザイン面などで工夫する必要がある」との意見や、「再エネを導入する前に、それぞれの建物の省エネを徹底するべき」などの意見を述べた。
〜環境基本計画で「大阪市ならではの施策を」〜
環境基本計画の中間見直しについての諮問では、市が同計画改定の方向性を示した。現行計画で掲げている「SDGs達成に貢献する環境先進都市」を目指した取り組みを維持しながら、環境を取り巻く国内外の状況や、現行計画の進捗状況、人口推移などの状況を踏まえながら「ポストSDGs」も意識した内容に見直す方針だ。
委員からは「大阪市ならではの特性を生かした施策を盛り込む必要がある。コンセプトにとどまらず、市民に対して具体的な施策やアクションを示したい」との意見や、「万博でのEXPOグリーンチャレンジなど、機運の高まりをタイムリーに捉え、どのように市民の行動につなげるかを考えてほしい」などの意見があった。
今後、夏〜秋に改定素案について再度審議会で議論し、本年度中に改定する予定だ。
※脱炭素先行地域―2050年カーボンニュートラルに向け、民生部門(家庭部門と業務その他部門)の電力消費に伴うCO2排出の実質ゼロを実現する地域。
提供:建通新聞社