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建通新聞社(神奈川)
2024/04/16

【神奈川】県内建設業の倒産は34%増 東商リサーチ

 東京商工リサーチ横浜支店がまとめた神奈川県企業倒産状況によると、2023年度の建設業の倒産件数は138件と前年度比で34%増えた。業種別の増加率では建設業が最大。コロナ禍の特別融資などの経済対策が終了し、旧態依然の経営から抜け出せず、ここへ来て事業を断念する企業が増えている。同社横浜支店の高柳慶支店長は「年明け以降、中小零細企業の一部で悲壮感が増している印象を受ける。倒産企業の増加傾向が鮮明になっている」と話す。
 建設業の倒産状況を見ると、負債額の総額は138億5200万円と前年同期比48%増加。倒産企業の約8割が負債額1億円未満の小規模倒産だったが、20年度以降、ほとんどなかった負債額5億円以上の倒産も数件発生している。倒産の理由は「既往のシワ寄せ」「売上不振」がほとんどを占め、業種別では、「建築工事」「土木工事」「とび・土工コンクリート工事」「その他職別工事」「管工事」「建築リフォーム工事」の倒産が多い。
 全産業の倒産件数は527件で前年度比22・6%増。低水準で推移していた倒産件数は4年ぶりに500件台となり、コロナ禍の経済対策が本格化する前の19年度を上回った。負債総額は2080億6800万円と12年ぶりに2000億円を超過した。
 倒産件数を業種別に見ると、最多がサービス業の155件、次いで建設業の138件、卸売業と小売業の55件、製造業の52件となっている。倒産の原因は、販売不振が260件、累積赤字が188件、他社倒産の余波27件、放漫経営15件など。
 倒産企業の資本金は5000万円以上1億円未満が14件、1000万円以上5000万円未満は154件、1000万円未満が357件。1億円以上は2件だった。

資金繰りに加え、人材難も要因

 比較的規模の大きな企業が調査対象となる日銀短観では、3月調査の県内建設業の業況判断指数(DI)がプラス29と好調な数値を示すが、中小零細企業の業況は違った様相を見せる。
 東京商工リサーチによると、金融機関の融資姿勢もここに来て慎重になっている他、人材難など事業の先行きに見通しが立たないことが相まって「資金繰りではまだ待ってもいいのに、弁護士に駆け込む(倒産を選択する)ケースも増えている」という。建設業では働き方改革が本格化し、厳しい状況に拍車がかかることが懸念される。

提供:建通新聞社