神奈川県県土整備局は、ICT活用工事の試行要領を改定した。これまで1000立方b以上としていた土工の対象規模を引き下げ、「1000立方b未満」と「小規模土工」を追加。より事業者が参画しやすいよう「入門型ICT活用工事」を新設し、まずは土工部門でのトライアルを促したい考えだ。また、総合評価方式に関するガイドラインを改定してICT活用工事の実施を加点対象とし、評価にも一歩踏み込む。
1000立方b以上と1000立方b未満の土工では、「3次元起工測量」「3次元設計データ作成」「ICT建設機械による施工」「3次元出来形管理等の施工管理」「3次元データの納品」の5段階でICT技術を活用することを想定している。
これに対して、新設した「入門型ICT活用工事」では、「3次元設計データ作成」「3次元出来形管理等の施工管理」「3次元データの納品」の3段階のみに絞り、ICT建機を使用しなくてもICT活用工事として認める。3次元設計からICT技術に慣れ、徐々にステップアップしてもらうことが狙いだ。
小規模土工では、1カ所あたり100立方b程度までの土砂の掘削・積み込み・運搬を伴う工事などを対象とする。「3次元起工測量」「3次元設計データ作成」「ICT建設機械による施工」「3次元データの納品」の4段階をクリアすることを想定しているが、「3次元起工測量」に関しては実施の有無を受注者が選択できる。
2023年度は、45件の工事で受注者がICT活用工事の実施に同意(24年4月時点)。同意件数が14件だった22年度の実績に比べ、3倍以上の増加となった。県の技術管理課は、「24年度は昨年度以上の件数を目指したい」と意気込む。ICT活用工事は当面全て受注者希望型とするが、県内にICT活用が広まれば、発注者指定型も視野に入れる。
県では、23年12月にオンラインセミナーを、2月には藤沢土木事務所(汐見台庁舎)で3次元設計データを作成し、実際に測量に使用する体験会を開催した。24年度も引き続き、受注者に向けた体験会を開催する予定だ。
提供:建通新聞社