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建通新聞社(中部)
2024/04/02

【愛知】名古屋市 容積率緩和の枠組みを見直し

 名古屋市住宅都市局は、総合設計制度の指導基準を改正し、4月1日から新築時における容積率緩和の枠組みを広げる。特例の割り増し条項として、新たに「カーボンニュートラルに資する取組」を追加。また、名古屋・伏見・栄地区など市中心部で2023年度から運用していた公開空地の質による緩和を、市内全域で適用する。市が3月に策定した「名古屋市地球温暖化対策実行計画2030」への取り組みとして、住宅・建築物の脱炭素化の促進を目指す。
 カーボンニュートラルへの取り組みによる容積率の緩和条項では、▽ライフサイクルCO2の削減▽気候変動の影響への適応▽取り組みの見える化―の三つを柱に据えた。緩和の要件を、必須条項と選択制条項に大別。必須条項には「建築物省エネ法に定める誘導基準への適合」と「エネルギーマネジメントシステムの導入と取り組み内容の発信」の二つを定めた。
 選択制条項は▽災害時に利用可能な再生エネルギー設備の設置▽躯体への低炭素資材・リサイクル資材の使用▽躯体の長寿命化▽地表面のヒートアイランド対策▽建物の緑化▽雨水の流出抑制への取り組み▽電気自動車などへの供給が可能な充放電設備(V2B)の整備▽雨庭の整備▽バイオフィリックデザイン▽県産木材の導入とCO2貯蔵量の可視化―の10項目。事業者は、このうちの最大6項目を選択することとなる。容積率緩和の度合いは選択制条項の取組数に応じるとしているものの、公開空地などの整備による割り増し容積率と合わせることができ、最大で200〜300%緩和されるとした。
 市内全域で適用されることとなる公開空地の質による緩和は、整備エリアにより求められる施設は異なるとしているものの、緩和の要件自体は23年4月から市中心部を対象に施行していた基準に準じたもの。
 広場状空地では従来面積300〜500平方b、前面道路幅員15b以上の有効係数1・2が最大だったものに、1・5〜2・0の項目を追加。前述の基準を満たすとともに、親水空間やレクリエーション広場など、開発エリア周辺の課題やニーズを反映した空間は、緩和される容積率が増加するとした。
 歩道状空地では、歩道の幅員不足解消や街区を貫通する場合に対し、最大で有効係数2・0が適用される。従来は植栽以外の設置を制限していたが、今回の見直しにより、ベンチや照明など歩行部分の機能を向上させる工作物の設置が可能となった。
 その他、原則禁止とされていた商用利用を駅周辺などの商業系用途地域に限り解禁するなど、公開空地の在り方に幅を持たせている。


提供:建通新聞社