北陸地方整備局は、現場技術者の負担軽減を図るため、5つの要点を柱に、42項目の取組み事例を解説する「工事書類スリム化ガイド」を新たに策定した。具体的な事例とともに、書類作成に関する受発注者間の役割分担を明確にすることなど、若者にも理解できるわかりやすい文章に仕上げた。文章の添削や表紙デザイン監修などに携わった企画部技術管理課の古澤希衣さんにガイドの目的、狙いなどを聞いた。
2024年度からの建設業の時間外労働上限規制適用を前に、各地方整備局が作成した同様のガイドを参考に取りまとめた。要点の1つ目には「受注者と発注者の適切な役割分担」を据えた。受発注者双方の役割分担や責任区分を明確化し、受注者への要求を適正化する考えだ。その理由に「入省してから図面作成の担当区分が理解できず、受注者に任せようとしたら当時の上司に発注者が作成する書類だと指導されたこともありました」と話す。苦い経験も踏まえて、ガイド作成にあたっては何回も読み直したそうで「入省8年目になりますが、私より後輩の方にも伝わりやすい文言に添削するのに苦労しました」と振り返る。
要点の2つ目「受注者と発注者のコミュニケーションによる円滑な施工」については、各工事の入札契約後概ね2週間以内に「施工条件確認部会」で工事書類スリム化ガイドの遵守について関係者で確認することを明記した。「各工事で受発注者(発注担当課・監督職員・現場技術員)で意識の共有を図りたい」と語り、ガイドの普及啓発を目指す。
そのほか、要点には▽真に必要な書類のみを適時作成▽電子データの活用によるペーパーレス化▽情報通信機器の活用等により、各種打ち合わせ・段階確認・検査等を効率化―を掲げる。「具体的な取組み42項目は諸先輩方の経験が活かされている。若い人からベテランまで幅広い世代に目を通してほしい」と呼びかける。
たたき台を作成した古山利也企画部工事品質調整官は「受発注者双方での実践により、建設現場の生産性向上と働き方改革の実現を図り、将来にわたる公共工事の品質確保・担い手確保につなげたい」と期待を寄せる。
なお、スリム化ガイドは北陸地方整備局ホームページhttps://www.hrr.mlit.go.jp/gijyutu/kansoka_index.htmlで閲覧できる。