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建通新聞社(神奈川)
2024/03/22

【神奈川】県 高齢者施設の移転など進まず

 神奈川県内の災害レッドゾーンなどに所在する高齢者施設の移転や建て替えが進んでいない。県や政令市、中核市の調査によると、県内の高齢者施設6453施設のうち、285施設が土砂災害特別警戒区域などの災害レッドゾーンに、923施設が土砂災害警戒区域などの災害イエローゾーンに所在したままとなっている。利用者の安全確保のため移転や建て替えが必要だが、「移転先の土地がなかなか見つからない」「費用負担が大きい」ことなどがネックとなっている。県は施設の移転促進に向けて支援対策を強化するとした。
 厚生労働省では、高齢者施設の安全対策として、風水害の危険性が高い地域からの移転などに対し建設費用の補助を行っている。2023年度からは補助枠を拡大し、災害レッドゾーンだけでなく災害イエローゾーンも対象に加えた。
 災害イエローゾーンは津波浸水区域や土砂災害警戒区域など発災時に人命に危険が生じる恐れがある区域で、災害レッドゾーンは、土砂災害特別警戒区域や急傾斜地危険区域などのより高リスクで著しい危険が及ぶ可能性がある区域。イエローゾーンに立地する施設が補助を受けるには、施設内定員が30人以上、建物が老朽化していること、施設建設後に危険が判明したことなどの条件を満たす必要がある。
 県は、社会福祉協議会や市町村と協力し、各施設で移転や建て替えが進まない具体的な理由を探る。高齢者施設の災害への備えや発災時の対応について調査を実施し、対策を進めるための課題を整理。必要な支援策を検討するとした。また、補助制度の活用が進むよう補助額の増額や要件の見直しを国に要望する。

提供:建通新聞社