金沢市は、2024年度当初予算案に「金沢美大柳宗理デザインミュージアム(仮称)」の整備事業費として、総額6220万円を計上した。今年度の基本設計業務に引き続き、新年度は実施設計に着手する方針だ。
戦後の日本を代表する工業デザイナー・柳宗理氏は、デザイン活動等の傍ら約50年にわたり、金沢美術工芸大学で教鞭を執った。昨年8月には、一般財団法人柳工業デザイン研究会が所有し、12年7月から金沢美大に寄託していた、柳氏が手掛けた作品、模型、設計図などのデザイン関係資料6730点が、市に寄贈されている。
デザインミュージアムは、既設の西町教育研修館(旧石川県繊維会館/西町三番丁16番地)を全面改修して新設。同館建設時の設計は金沢出身の建築家・谷口吉郎氏が手掛けており、市では「デザインと建築意匠を通した美と創造の交流拠点」となるよう、施設整備を進めていく。
施設規模はRC造地下1階地上3階建て、延べ床面積1683平方メートル。建物外観はタイル貼り白壁、細い柱形のコンクリート造で、モダニズムと和風建築を軽快に昇華する。階段廻りの亀甲石貼や折鶴形蛍光灯なども金沢に相応しい。1952(昭和27)年に完成し、2022(令和4)年10月31日には国登録有形文化財に指定された。
また、整備基本計画の中で機能構成も示し、地階は事務・運営、研究・収蔵ゾーン(主な諸室/会議室、研究・収蔵室等)、1階に教育・交流、普及・発信ゾーン、事務・運営ゾーン(交流スペース、ショップ、カフェ等)、2階と3階は普及・発信、研究・収蔵ゾーン(展示室、研究・収蔵室等)としている。
施設整備にあたり、各種寄贈品の利活用を図り、一方で、現代建築レガシーとして、国内外から評価の高い建築意匠を継承するとともに、建物の耐震化や、エレベーター及び多目的トイレの設置など、バリアフリー化も施される。
基本設計はムラシマ事務所。展示計画の策定はヨシダ宣伝が担当。