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建設新聞社
2024/03/12

【東北・宮城】JAXA角田に官民共創推進系開発Cを新設

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、角田市にある角田宇宙センター内に「官民共創推進系開発センター」を建設するため、設計技術協力・施工一括のECI方式を採用してプロポーザルの手続きを進めた結果、阿部和工務店を選定した。2月28日に技術協力業務の見積もり合わせを行い90万円で決定した。JAXAによるECI方式の採用は種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)の第3衛星フェアリング組立棟の建設以来2例目。
 角田宇宙センターは、ロケットの心臓部となるエンジンの研究・開発および民間事業者のロケット推進系開発を支援する取り組みを実施している。これまで民間に対しては実験設備を提供していたが、民間による打ち上げビジネスがトレンドになり、ロケット事業を展開する企業が増えていることから新設を計画した。設備提供することで民間事業者が参入する初期段階でのリスクを低減できるほか、独自開発できる能力・技術を身に付けることを狙いとしている。
 設備の特徴は、推力10d規模のエンジンや個別パーツの実験などが可能。同じ実験ができる設備を2カ所以上配置し効率化を図るほか、燃焼騒音消音装置を設けて近隣への騒音対策を施す。積極的に民間の使用を想定する設備の導入は今回が初めて。
 建設地は、角田市君萱小金沢1の敷地内にある極低温ターボポンプ試験設備の南側の用地。ここにRC造2階建て、延べ1200平方bの試験棟を設ける。そのほか、S造平屋建て、延べ350平方bの準備棟の新設および、延べ412・5平方bの計測制御棟を対象とした改修工事も行う。いずれも設備工事を含む。準備棟は、試験棟で使用する実験物のセットアップを行う施設。事業費は約20億円を見込んでいる。基本設計はニッテイ建築設計(東京都中央区)がまとめた。
 今後のスケジュールは、今月末までに既存設備の解体を行い、5月ごろから建築工事、25年3月から設備工事に着手する。運用開始は同年10月を目指す。既存施設の解体工事は仙周工業(宮城県白石市)が担当している。
 本計画に関して、JAXA官民共創推進系開発センター準備チームの冨田健夫リーダーは「H3ロケットの打ち上げに成功し、国内でも宇宙輸送ビジネスが注目されている。JAXAとして民間企業の利用を主眼としたロケットエンジンの開発センターを立ち上げるのは初。角田宇宙センターがロケットエンジン開発のゆりかごになり、今後の宇宙研究やビジネスを担う企業がここから巣立っていくことを期待している」と語った。

 提供:建設新聞社