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建通新聞社
2024/03/07

【大阪】府中央卸売市場の再整備 「場内事業者の協議踏まえスケジュールを見直す」 

 大阪府が検討を進めている府中央卸売市場の再整備について、2月29日に開かれた府議会本会議の代表質問で、環境農林水産部の原田行司部長は、現在場内事業者と進めている協議を踏まえ、スケジュールを見直す考えを示した。しかた松男議員(自由民主党、大阪市城東区)の質問に答えた。原田部長は、「場内事業者との間で、検討の継続について協議している。結果を踏まえ、基本計画策定などの検討スケジュールを見直す」と述べた。次回実施する大阪府中央卸売市場再整備検討会議で方針を決定する予定。
 当初の計画では、2023年度内に基本計画を策定し、24年度に事業者を選定するとしていたが、現時点で基本計画の策定に至っていない。計画策定の遅れを指摘された原田部長は、「必要な市場機能を確保しつつ、民間資本を活用し将来にわたって自立的な運営が可能となるよう場内事業者と検討を進めてきた」とこれまでの経過を報告。その中で、場内事業者から、「資材高騰などの影響がある中で、将来リスクの負担に対し、一般会計から公費を投入すべき」や、「コロナの影響から経営状況が回復しておらず、再整備に向けた検討を中断すべき」との意見があったとした。

〜一般会計からの繰り出し「実施しない」〜

 再整備費用を一般会計から企業会計に繰り入れることについては、「府が所有する市場敷地の一部を余剰地として民間事業者に貸し出し、そこから得られる収入の全額を再整備費用に充当する考えだ。将来見込まれる取り扱い数量に見合った施設規模の適正化を図ることで、現時点の試算では繰り出しがなくても使用料の増加を抑えられる見込みだ」とし、改めて一般会計からの繰り出しを行わない考えを示した。
 総務省が定める地方公営企業繰り出し金に関する規定では、市場の建設改良を行う際、企業債の元利償還金の2分の1を一般会計から企業会計に繰り出すことができる。また、特別交付税に関する省令では、卸売市場などの建設改良を行うために一般会計から繰り入れた額の最大7割までを、特別交付税として交付を受けることができる。
 しかた議員は、「建設資材費の高騰による整備費用の上振れといった問題に対し、場内事業者の使用料だけで負担することに不安を持っているため検討が止まっているのではないか」と指摘。一般会計からの繰入制度の活用を求めた。
 さらに、「整備費の上振れ分は開設者である府が負担するべきではないか」と尋ねられた原田部長は、「整備費の抑制を図るため、将来の取り扱い数量などを踏まえた施設規模の適正化について場内事業者と協議を重ね、リスクを最小限にするよう検討してきた。また、整備費については現在高騰している資材費の実情を反映した単価で算出するとともに、整備費の10%を予備費として計上している」と説明。「施設規模のさらなる精査や、施設使用などの見直しなどを行い、使用料水準をできる限り下げていくことが整備費の上振れリスクへの備えにつながる」とし、当初の方針通りに検討を進める考えを示した。