坂出市は、坂出港で排出されるCO2を2050年までに実質ゼロにすることを目指す坂出港脱炭素化推進計画の案をまとめた。同計画では坂出港で活用する次世代エネルギーについて水素を基本とし、その供給目標を30年時点で年間1万9487d、50年時点で43万0285dとしている。これを基に、水素の貯蔵に必要な施設を、30年までに2500立方b級が12基、1万立方b級が3基、5万立方b級が1基と試算している。30〜50年の間には、2500立方b級が308基、1万立方b級が77基、5万立方b級が16基必要と推計した。この他、坂出港周辺の製造業や石油・ガスなどのインフラ企業などが行う、CO2排出量を削減するための取り組みについても盛り込んだ。
現在、パブリックコメントの手続きを行っており、大幅な修正がなければ協議会や議会への報告を経て順調なら3月中に正式にまとめて公表する。
CO2排出量の削減について、短期的には25年度までに13年度比でCO2排出量を33%減、中期的には30年度をめどに13年比で46%減とする。
同計画の対象範囲は、松ケ浦地区から総社地区、林田地区へと西方向に番の州地区までの範囲。ターミナルなどの港湾区域や臨港地区での脱炭素化だけでなく、ターミナルなどを経由して行われる海上輸送、トラック輸送、倉庫など物流に関する取り組み、港湾を利用した鉄鋼、化学工業などの生産や発電の活動、ブルーカーボン生態系などを活用した吸収源対策の取り組みなどを対象とする。
温室効果ガス排出量の削減のために、停泊中の船への陸電供給、製造機械や荷役機械の低炭素化、使用電力の脱炭素化を狙うための再エネ電力導入、製造機械・荷役機械のリプレース時期や技術開発の進展に合わせた水素燃料などへの転換、港湾を出入りする車両に対する水素等供給設備の導入、太陽光発電やバイオマス発電などを挙げている。
港湾と臨海部の脱炭素化につなげる取り組みとしては、バイオマス発電所によるグリーン電力の供給、火力発電所での水素混焼・専焼発電への転換、水素などの貯蔵・供給を可能とする受け入れ環境の整備といったことを盛り込んだ。提供:建通新聞社