神奈川県企業庁は、蓄電所の導入可能性を探るため、調査業務を2024年度第1四半期に委託する。企業庁が管理する未利用地の活用を前提に、定置用蓄電所の新規導入に向けた現地調査や蓄電方式の比較検討などを行い、再生可能エネルギーの普及を後押しする考えだ。24年度当初予算案に調査費として2900万円を計上した。
蓄電所とは、リチウムイオン電池や鉛蓄電池など蓄電池を利用して電気をためる施設で、送電線に接続して電圧や周波数を変えずに受送電を行う。発電量が天候に左右されやすい太陽光発電などの再生可能エネルギーと組み合わせることで、電力の供給量の安定化を図ることができる。
23年12月現在、企業庁が利用しておらず今後の利用計画がない土地は44件で約15万4000平方bで、主に配水池やポンプ所の跡地となっている。これらの未利用地のうち、ある程度の広さを確保でき、近隣に送電線がある土地などを建設地の候補に挙げる。蓄電所を設置するための必要最低限の条件や、重視すべき条件なども整理する。未利用地の現況や土地利用の規制確認を行うことで、今後の具体的な調査につなげる方針だ。
県内では、揚水式発電を採用する城山発電所が電力をためる機能を持っている。揚水式発電は夜間に余剰電力を利用して水をくみ上げ、電力需要の多い時間に放流し発電する仕組み。地形利用が前提となるため適地が限られ、建設費も高額になるというデメリットがあることから、より低コストで建設が可能な蓄電所に着目した。
24年度に実施する調査では中間報告を求める予定で、蓄電所建設に適した土地などが見つかった場合には関係する費用を25年度予算などに組み込むことを考えている。
提供:建通新聞社