多賀町は、多賀地区で高宮財産区が管理する地域防災計画の重要水防ため池「奥谷田池(高宮池)」で実施の必要性を検討している耐震化に向けた改修整備は、過年度の調査で「レベル1地震」に対する耐震性能について「問題なし」の判断を受け、23年度当初予算に耐震化調査業務費を措置し委託した「レベル2地震」に対する耐震詳細調査の結果を委託期間の3月15日までをメドにまとめる。調査の結果耐震レベル2について「問題あり」の判定が出れば、改修整備を要するものとして24年度にも多賀町が改修整備の基本設計となる業務を発注しまとめ、県協議等を経た後25年度にも事業採択に係る申請手続きを行い、早ければ26年度の事業採択を目指す。事業採択され県の所管となれば県湖東農業農村振興事務所から26年度にも詳細設計が発注され、27年度にも初弾工事の発注・着工―へと進む見通し。なお23年度進めている耐震詳細調査を経てレベル1・2ともに「問題なし」の結果が出れば、奥谷田池の耐震化整備は実施しない。
23年度は当初予算に措置した土地改良事業費のうち2500万円を充当した奥谷田池耐震調査業務委託費で、奥谷田池ため池耐震詳細調査業務をパスコ滋賀支店(大津市)に委託し(23年7月27日開札)、多賀地先の農業用ため池・奥谷田池を対象に、レベル2地震に対する耐震詳細調査一式や土質調査業務一式を進めている。委託期間は3月15日まで。
「奥谷田池(高宮池)」は、農業用水の確保を目的に、江戸後期に谷をせき止めて築造され、現在は豊富な貯水量による利水はもとより動植物の生息・生育環境としての貴重な役割を担っている。池の規模は堤長120b、堤高6b、満水時水深5・5b、貯水量約13万3000立方b。
築造後200年以上が経過し近年では堤体の老朽化もみられ、施設の耐用能力を超える大雨や大規模な地震が発生した場合、堤防が損傷し決壊に至る可能性があり、万一ため池が決壊した場合、池の下流に一度で大量の水が押し寄せる危険性が「多賀町ため池ハザードマップ」でも指摘されており、現在は堤防から3・5b水位を下げ、決壊の危険性を低減させる「低水管理」を行っている。
20年3月作成の「多賀町ため池ハザードマップ」におけるはん濫シミュレーションでは、奥谷田池のごく近くの範囲には災害時収容病院や人家等があり建物2階以上への避難を推賞する「危険度U」、それ以外の一帯では床下浸水程度の「危険度T」を示している。
提供:滋賀産業新聞