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北海道建設新聞社
2024/03/01

【北海道】北海道建設新聞社の24年問題緊急アンケート/建設業の7割が未対応

 建設業に労働時間の上限規制が課されるまで残り1カ月。北海道建設新聞社が「2024年問題」に関して本紙購読企業向けの緊急アンケートを実施したところ、建設業の67.8%が対応できていないことが判明した。82%が、規制は事業に「マイナスの影響」を与えると回答。制度変更に戸惑う業界の実態が浮かび上がった。新年度は働き方を巡る混乱も予想される。
 回答企業のうち工事を手掛ける211社を見ると、上限規制に「対応済み」と答えたのは68社で全体の3分の1に満たなかった。未対応は143社。うち24社が「対応のめどが立たない」とした。
 元請け企業に限れば対応済みの割合は35・8%あったが、下請けでは26%に下がる。従業員規模別では、50人以上の企業の40%が対応済みで、50人未満では29・1%と差が開いた。
 具体策は元請け・下請けで違いが見られた。実施、または予定している策を選択肢から複数回答可で尋ねると、元請けで最も多かったのは「(現場作業)役割分担などの工夫で効率を上げる」、下請けでは「受注単価を上げる」だった。どちらも2位は「残業抑制による従業員の収入ダウン分を補填する」で、人員の待遇確保が重視されていることが分かる。一方で、元請けの6・7%、下請けの13・7%は「対応策はない」を選んだ。
 ■DX設備投資
 労働時間短縮に絡むDX設備投資について聞くと、予定を含め「している」が34・1%、「していない」32・2%、「検討中」33・6%と分かれた。「している」は元請けでは43・3%と半数に近かったが、下請けでは19・2%と対照的。資金力や人材面での差が現れた可能性がある。
 ■下請け支援
 下請けが残業を減らすために欠かせないのが元請けの協力だ。元請けに、下請けの24年問題対応を支援しているか聞いたところ、「している」は23・1%だった。内容は「下請けの見積額上昇を受け入れる」「週休2日対応として、作業員が土曜に休んだときは有休扱いで日当を補填する」といった金銭面のほか、「適切労働時間の勉強会実施」なども挙がった。
 元請けに求めることを記述式で下請けに尋ねると、「単価引き上げ」「残業が出ない工期確保」「週休2日制の確立」が多くを占めた。中には「冬季間の現場稼働」「緊急時を除く午後5時以降の打ち合わせ撤廃」などの提案も見られる。
 24年問題で自社が受ける影響については、「マイナスの方が大きい」が71・6%、「マイナスのみ」が10・4%。プラス評価は合計でも18%だった。プラスは元請けで17・1%、下請けで20・6%と、わずかながら下請けの方が肯定的に受け止める割合が大きい。
 自由記述欄には、工事業者以外を含めて85件の回答が寄せられた。「もう少し時間をかけてやってほしかった」「工期長期化で工事原価が上がり利益減になる」「DX導入でかえって雑務が増えている」「働く時間は減るが賃金は上げなければならない矛盾」など、対応の難しさを訴える声が大半。「守れていない会社を厳しく取り締まることを行政に求めたい」とする意見もあった。
 調査は本紙社告やe−kensinプラス会員向け電子メールで周知し、2月19日から同26日にかけてインターネットで実施。283社から回答を得た。このうち、本紙購読中で工事に直接関わる211社を集計対象として分析。元請け、下請けと分類できたのは各134社、73社。従業員規模別では50人以上が60社、5−49人が140社、5人未満が11社だった。