本体建設費約66〜69億からさらに上昇か 鈴木市長が表明 PPP/PFI視野 鈴木史朗長崎市長は27日、市議会一般質問において、新たな文化施設の建設地について、市庁舎跡地とすることを表明した。あわせて文化施設だけでなくほかの機能も付加することや、PPP/PFI導入を視野に検討することを明らかにした。
具体的には、同建設地が長崎スタジアムシティや長崎駅方面とまちなかを結ぶ街道上に位置し、さらなる賑わい創出や誘導を図るまちづくりを進めるうえで極めて重要な場所であることから、鈴木市長は「文化施設としての機能に限定することなく、それ以外の機能も付加した形での利用も視野に入れて、市の地域活性化に最大限効果を発揮できるまちづくりを進めるための検討を行う必要がある」「(地域活性化への効果や財政負担軽減の観点から)PPP/PFI手法など大胆に民間活力を導入することも含め、あらためて検討する必要がある」と発言。特にPPP/PFI導入については当日初めて議会にて発言した。
これに対し質問者の五輪清隆議員(市民クラブ)は「PPP/PFIは仕様書を作成するために3年程度かかる」ことから発注、契約、着工となるとさらに延長されるため、2026年度完成としてきた計画が現実的でなくなったことを指摘した。五輪議員はまた、66億〜69億円(他都市類似施設建設費より算出)とされている概算建設費用について、近年の更なる資材高騰や人件費上昇により、さらに高騰するのではないかと危惧。この概算建設費に外構工事費や設計費が含まれないため、現段階で総事業費はどの程度を見込むのかを重ねて質問したが、鈴木市長の「建設費の大幅な上昇が見込まれる」との回答に留まり、市側は金額について明言しなかった。なお関連して、先般示された長崎都心まちづくり構想(素案)において、建設地である市庁舎跡地に「歩行者支援施設(エスカレーター)整備」(平和公園入口エスカレーターを例示)を記載している。
これまでの経緯としては、市は新たな文化施設を旧公会堂代替施設として、県庁跡地か市役所本館跡地かの建設地検討を行い、最終的に2020年1月に市役所本館跡地にて建設することを決定。文化振興審議会での検討を経て、22年10月の審議会に概算建設費66〜69億円、全体延床面積7500〜7800平方bとする『新たな文化施設基本計画(素案)』を提示、23年4月には計画策定を行い、同年6月補正に設計費計上を予定していた。
しかし鈴木市長就任後の23年6月定例会見で、新たな文化施設を市庁舎跡地につくる計画について「建設費高等などの状況を見極め、多面的視点から建設地が適切か再度整理する必要がある」と市長方針を示し、予定されていた設計費計上を見送り。
これを受け文化振興審議会と都心まちづくり構想検討委員会の合同会議において、建設候補地4か所を検討。今年2月15日の会議において(基本計画同様の)市庁舎跡地が『最適』とした結論を了承、市は「年度内に正式決定する」としていた。