神奈川県企業庁では、谷ケ原浄水場の浄水施設再整備に向け、2024年度第1四半期に基礎調査と検討業務を一般競争入札で委託する。処理フローや処理方式、施設規模などを検討し、26年度末に策定予定の基本計画に向けた事前準備を行う。老朽化している沈殿池のコンクリート構造物や関連する電機設備も含め、設備の更新時期を迎える42年までに浄水施設全体の再整備の完了を目指す。スケジュール案では、基本設計を27〜28年度、詳細設計を29〜33年度に進め、34年度から工事に着手する想定だ。
現時点では、緩速ろ過方式を廃止して同エリアを新築用地とする方針で、急速ろ過方式で給水量を賄いながら既存施設の撤去と新築を進める。新たな浄水処理施設の完成後は既存の急速ろ過方式も廃止し、他施設の将来的な更新スペースとして確保する考えだ。再整備の過程で処理方式の切り替えなどを行うため、想定可能な手法なども整理する。
谷ケ原浄水場は水需要に合わせて施設を拡張しており、1942年に完成した緩速ろ過方式と、63年に整備した急速ろ過方式の2方式で浄水処理を行っている。急速ろ過方式では、横流沈殿池、高速沈殿池、傾斜板沈殿池と整備年代によって沈殿池の方式が異なっており、処理フローが複雑化しているという課題があった。再整備に当たっては、経済性やメンテンナンス面を考慮した上で沈殿池の方式を統一することを検討している。
脱炭素化に向けて建物の屋上への太陽光パネルの設置を想定している他、富士山の降灰対策として屋内化や覆蓋の設置なども考えている。
2020〜21年度にかけて基本構想を日水コン横浜事務所(横浜市中区)に委託。22〜23年度は基本構想の内容を取りまとめて庁内で検討を重ねた。
谷ケ原浄水場は相模湖の湖沼水を取水し、浄水した水道水を相模原市と厚木市、愛川町の2市1町に配水している。最大供給量は17万8000立方b/日。敷地面積は8万4192平方b。所在地は相模原市緑区谷ケ原2地内。
提供:建通新聞社