高知県は2月15日、投資的経費に前年度比2・7%減の921億3600万円を確保する2024年度当初予算案をまとめた。23年度経済対策として約270億円を合わせて実質的には1191億円を見込んでいる。一般会計の総額は同2・7%減の4655億6300万円。減額の主な理由についてM田省司知事は「国費で賄われる新型コロナウイルス感染症関連予算が計上されていないことが要因。関連予算を除けば23年度を上回る水準」と説明した。
インフラ整備には853億円を投入し、四国8の字ネットワークや浦戸湾三重防護など必要性や緊急性の高い事業を継続し、中山間地域の道路整備など地域の実情を踏まえた事業も着実に進める。
南海トラフ地震対策には241億円を充てる。死者数を限りなくゼロに近づけるため住宅耐震化の補助制度拡充や石油基地の津波対策といった「命を守る」対策と緊急輸送道路の確保や「道の駅」の防災拠点化などの「命をつなぐ」対策を引き続き進めるとともに、市町村への事前復興まちづくり計画策定支援など、「生活を立ち上げる」対策も充実させる。能登半島地震を踏まえた対策強化検討基礎調査などにも取り組み、南海トラフ地震対策行動計画のバージョンアップを目指す。
人口減少対策総合交付金を新たに創設し、10億円を計上。このうち4億円は基本配分型として全市町村に人口割で配分。6億円は連携加算型として交付する。交付率はソフト事業は原則3分の2、ハード事業は原則2分の1となっている。
デジタル化ではドローンによる砂防堰堤の3Dモデル化、グリーン化では省エネルギー化による環境負荷軽減を狙いとする道路照明一括LED化事業、グローバル化ではインバウンド観光を進めるための高知龍馬空港新ターミナルビルの設計費などを盛り込んだ。
M田知事は「デジタル化、グリーン化、グローバル化の施策強化と目指すべき高知県像の実現に向けた施策の展開。人口減少対策の抜本強化。災害に強い県土づくり。持続可能な財政運営―の四つのポイントを基にまとめた」と予算編成の考え方を説明した。
当初予算案は2月21日開会の県議会2月定例議会に上程する。
提供:建通新聞社