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建設新聞社
2024/02/20

【東北・宮城】大郷町が官民一体のスポーツパーク構想

 大郷町は19日、議員全員協議会で「おおさとスマートスポーツパーク(SSP)」の事業概要を説明した。町と、スポーツクラブの経営支援などを手掛ける民間企業のスポーツX(京都市右京区西京極堤町44番地2 小山淳代表取締役)が官民一体となって地域活性化を図り、複数のサッカーグラウンドや2棟計約1300人規模の宿泊棟・管理棟を建設する。
 事業用地が全て農地になっているため、現在は農地転用手続きに向けた手続きを進めている。施設はスポーツXが2024年度にも施工者を選定し、27年度からの段階的な運営スタートを目指す考え。
 町は令和元年東日本台風の影響による吉田川の氾濫で被災した中粕川地区の復興に関し、かわまちづくり事業などと並行して新たな地域振興策を模索してきた。高齢化や人口流出、基幹産業である農業の担い手不足といった課題の解決もねらい、社会人サッカーチーム・みちのく仙台FCなどを子会社に持つスポーツXと官民一体で、農業とスポーツを柱とする地域活性化を目的としたSSP構想に取り組む。22年度に町が委託した検討業務は建設技術研究所が担当。
 対象エリアは、中粕川地区西側の粕川道南地区55f。この一部で吉田川に近い19fをスポーツXによる「SSP計画エリア」とし、町が整備する2・5fの公園エリアとともに短期計画と位置付けて先行整備する。
 SSP計画エリアは、用地取得と一部道路、雨水排水路の整備などを町が行う。スポーツXは町と定期借地契約を結び、施設建設と運営を担う。公園エリアを含む短期計画の概算事業費は14億6900万円。
 スポーツXが提案する計画は、天然芝4面・人工芝8面の多目的グラウンドと、680人収容可能な宿泊施設と管理棟をそれぞれ2棟建設する。構造や規模は未定で、今後に詰めていく。このほか900台以上の駐車場を確保する。
 施設を活用し、平日は企業研修や修学旅行生の受け入れ、中学生・高校生を対象とした寄宿生アカデミー・通学生アカデミーを運営する。休日は公式戦や大会、スポーツ合宿の誘致を行う。寄宿生や子会社であるみちのく仙台FCの選手が農業に従事することで、農業振興にも寄与する。
 23年度は、町とスポーツXが農地利用に向けて地域未来投資促進法の申請手続きを行い、昨年12月に町が提出した基本計画が国に承認された。併せてスポーツXが提出した地域経済牽引事業計画が承認されれば、農地転用などが可能となる。
 町によると24年度は用地取得に向けた交渉を8月までに終え、農転手続きは10月までに完了させたい考え。
 スポーツXは24年度、グラウンド6面、施設1棟の第1工区整備に向けて施工者選定に取り掛かる。その後25年度に基本・実施設計、26年度に建築工事を始め、27年度に稼働を開始するスケジュール。29年度からは同規模の第2工区についても運営を開始する計画。
 小山代表は「農業とスポーツという組み合わせは珍しいと思われるかもしれないが、食糧自給と子どもたちの教育をセットにした
大郷モデル≠ニして確立させ、国内外に展開していきたい」と話す。
 なお先行整備エリアを除く33・5fについても官民連携による開発プランがある。

 提供:建設新聞社