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建設経済新聞社
2024/02/19

【京都】鴨川河川整備計画 千年の都・鴨川清流プラン 実施状況と今後の方向性まとめ

 京都府は16日、鴨川河川整備計画 千年の都・鴨川清流プランの実施状況をまとめ明らかにした。
 平成22年1月策定の鴨川河川整備計画について、整備区間は「流下能力が低い築堤区間(桂川合流部〜七条大橋約7・6q)」で、整備内容は「概ね1/30規模の河道改修等」。
 平成26年1月策定の千年の都・鴨川清流プランについて、重点整備区間は「流下能力が低い築堤区間の下流区域(桂川合流部〜鳥羽大橋約3・0q)」で、整備内容は「概ね1/30規模の低水路拡幅、護岸整備、井堰改修等」。
 令和5年度鴨川フォローアップ委員会に、千年の都・鴨川清流プランの実施状況と今後の方向性を報告した。
 主な内容は次の通り。
 ◆安心・安全の鴨川をめざして(河川改修の着実な推進…鳥羽大橋〜桂川合流部付近の治水安全度向上を図る)
【1−1 河川改修の着実な推進】
▽低水路拡幅…[実施状況]低水護岸(京川橋下流左岸、西高瀬川左岸)、[今後の方向性]河川区域内行為の整理の完了に伴い、整備計画に基づく護岸整備等の進捗を図る
▽井堰改修(龍門堰)…[実施状況]@龍門堰管理橋・本体上部工撤去(平成27年度)A下部工・樋門撤去(令和元年度〜令和3年度)、[今後の方向性]−
▽高水敷整備…[実施状況]@仏光寺通〜五条大橋〈右岸〉実施済A塩小路橋〜東山橋〈左岸〉実施済B勧進橋上流〈左岸〉一部実施中C勧進橋〜京都南大橋〈右岸〉実施準備中D鳥羽大橋〜小枝橋〈右岸〉実施準備中、[今後の方向性]B勧進橋上流〈左岸〉低水護岸の整備に併せ、高水敷(園路)整備中。令和2年度に陶化橋から下流に向け園路を延伸Cくいな橋〜京都南大橋及びD鳥羽大橋〜小枝橋〈右岸〉低水護岸整備済。高水護岸の整備に併せ、一定区間がまとまった時点で整備に着手
【1−2 多発する集中豪雨への取り組み】
▽河川情報板設置等による情報発信の多様化…[実施状況]@河川監視カメラ増設(令和元年度・大原、松ヶ崎橋)A河川情報発信装置の設置、[今後の方向性]Aより効果的な運用のため、表示する内容や様々な活用方法について検討
▽洪水予報システムの精度向上…[実施状況]@新洪水予報システムを構築(試験運用)、[今後の方向性](洪水予報)6時間先の水位・氾濫時の浸水範囲を予測するシステムの構築を図り、予測精度の向上を目指す(令和5年6月運用開始)
【1−3 経験のない大洪水への備え】
▽治水安全度のさらなる向上方策検討…[実施状況]浸水想定区域図の見直し(平成30年度公表)(対象降雨1/100→概ね1/1000程度)、[今後の方向性]洪水予報区間より上流区間についても作成
【1−4 適切な維持管理】
▽中州・寄州の管理…[実施状況]令和元年度に方針決定した中州管理方針に基づき、令和2年度から土砂堆積状況を確認しながら河床整正・定点観測を実施、[今後の方向性]令和元年度に作成した方法に基づき、土砂堆積状況の変化を確認しながら進めていく。土砂撤去に伴う環境調査は河川水辺の国勢調査によるモニタリングに移行
▽河川構造物の点検・修繕等…[実施状況]計画的な点検・修繕に加え、出水時等には随時点検・修繕を実施、[今後の方向性]長寿命化計画等に基づき、適切な点検・修繕を継続。詳細な点検を実施するため、最新技術の活用等を検討
 ◆千年の都・京都の美しい鴨川をめざして(歴史都市・京都における鴨川の保全)
【2−1 良好な水辺環境の保全】
▽流況の把握…[実施状況]令和2年7月豪雨時に高水観測実施。これまで台風等の出水時に流量観測を実施(平成26年台風11号、平成27年台風11号、平成30年7月豪雨等)、[今後の方向性]高水流量観測については観測地点を増やすなど流況の把握に努める。低水流量観測については大きな河床変動等断面形状の変化があった場合に観測する
【2−2 歴史都市・京都における鴨川の保全】
▽鴨川景観のあるべき姿の具体的検討等…[実施状況]エアコン室外機の景観対策を実施中(計41台対策済)、[今後の方向性]啓発活動の推進。京都市及び地元事業者等との連携による対応
 ◆より一層多くの人から親しまれる鴨川をめざして【3−1 鴨川の持つ魅力“楽しみ、憩い、ふれあい”の空間創出】
▽黄昏時利用スポットの充実…[実施状況](試行)三条大橋桁下と下流園路で夜間景観づくりの社会実験を実施(令和6年1月)、[今後の方向性]自然環境や景観等への影響を検証後、実施方法を模索
▽鴨川ギャラリー等の整備(文化発信)…[実施状況](全10ヵ所を計画)順次設置中。平成29年度までに8ヵ所を設置済。ギャラリーとは別に御園橋左岸に掲示板を設置、[今後の方向性]今後の利用促進・維持管理(更新・清掃等)が課題
▽四季の彩りスポットの整備…[実施状況](未実施)、[今後の方向性]整備後の維持管理(管理者・費用等)が課題
▽飛石による回廊ルートの強化…[実施状況](未実施)西賀茂橋上下流の既設飛石を下流に統合して復旧済。御池〜七条間は流速・水深等から設置不可と判断、[今後の方向性]情報提供と回廊ルートは園路整備と併せて引き続き検討
▽水辺環境の保全・再生(魚道設置、瀬・淵再生等)…[実施状況]落差工修繕時に、治水上支障のない範囲で遡上しやすい形状等に配慮して施工。龍門堰撤去部に魚道を設置(令和元年度)、今井堰に切欠を入れ魚の遡上支援(令和元年度)、水産課による仮設魚道の設置(葵橋上流他)、[今後の方向性]改築工事に合わせて検討。流下能力を阻害しない構造の検討が必要
▽利用者の快適性の向上(光・映像による演出他)…[実施状況]「京の七夕」でのプロジェクションアート、「桜ライトアップ」、「鴨川茶店」「勧進橋フェスタ」など。夜間景観づくりの社会実験(令和6年1月)[今後の方向性]安全対策・開催費用が大きな課題。民間(企業・NPO等)との連携を進める
▽河川公共空間の適切な維持管理…[実施状況]@計画的な点検・修繕に加え、出水時等には随時点検・修繕を実施A鴨川公園の植栽整備、[今後の方向性]長寿命化計画等に基づき、適切な点検・修繕を継続。より詳しい点検を実施するため、最新技術の活用等を検討