基地・駐屯地ごとにECI方式で発注 防衛省が本年度から5年間で取り組んでいる防衛力整備計画で、自衛隊施設の強靭化関係予算は4兆円。このうち、既存施設の更新などの「最適化事業」は、新規に進めるもので、県内の対象棟数は建替316棟、改修149棟。九州防衛局では、この膨大な発注量に円滑に対応できるよう、ECI方式(設計段階からの施工者の参画)による大型発注とともに、地元企業の参画に配慮した要件緩和などを進めていく。6日に、建設業協会会員に対し、九州防衛局の高橋哲也調達部長が説明した。
最適化事業は、全国の基地・駐屯地の建物やライフラインの現状把握・評価を行って、施設の機能・重要度に応じた構造強化や隔離距離確保のための再配置・集約化などにより集中的に施設整備を進めるもの。2023年度から3年間で、老朽改修、省エネ対策なども含めた『マスタープラン』を基地・駐屯地ごとに策定し、運用上重要な個所から事業をスタートする。
予算措置は10年間、実際の工事を含めた事業期間は15年間を計画しており、現在の防衛力整備計画では27年度までの5年間で1・7兆円の事業費を想定している。
最適化事業では、旧耐震基準で建設された施設はすべて建て替え、新耐震基準を満たした施設でも、03年制定の『自衛隊施設の基本的性能基準』以前の建物は、建て替えや改修の対象とする。県内の状況を見ると、581の総施設数のうち、建替対象が316、改修対象が149。建替対象の13棟、改修対象の14棟が延べ床面積3000平方b以上の規模の施設だ。
施設の整備に当たっては、構造強化(壁厚増)、地下化、空気ろ過システム、高気密ダンパー、飛散防止ガラス、監視センターといった防護性能を付与する。
ECI方式による工事発注は基地・駐屯地単位で実施。まずは設計業務を契約(受注者が技術協力)、設計が完了した施設から段階的に工事契約(随意契約)を行う(優先交渉権は技術協力の受注者)。基地単位で一括発注することで、工事間調整の省力化や仮設物・人材の併用、契約件数の縮減などで、事業期間の延伸防止やコストの抑制、受発注者双方の業務効率化・負担軽減につなげることが狙いだ。
同事業の受注で地元企業を活用できるよう、施工実績要件を緩和。企業の要件は、これまで元請けとして完成した工事の実績に限定していたものを、防衛省発注の一次下請け実績も認める。配置予定技術者は、発注機関を限定せずに、一次下請けの実績も認めることにした。
JVの構成員数についても、地元企業が多く参加できるよう最大10社まで組成できるようにし(建築だけでなく、土木や電気、機械など異工種を含めることも可)、発注時の評価基準の地域貢献度の中で、地元企業を含めたJVや、地元企業に対する下請け発注率に応じた加点を実施する。さらに、同一入札に参加した他の企業(相指名業者)が、下請けとして参加することも容認するとした。