高知県土木部は、春遠ダム建設などを進める春遠生活貯水池建設事業の総事業費を168億円に増額する。春遠第2ダムの本体実施設計の結果、流入土砂対策の追加やグラウト施工増量に伴う増額が必要となったことなどが要因。計画当初では2024年度の第2ダム本体工着手を予定していたが変更し、28年度の着工、32年度の完成を目指す。2月1日に開いた高知県公共事業再評価委員会で説明した。
春遠第2ダムは、堤高21・5b、堤頂長96bの重力式コンクリートダムで、堤体積1万2000立方b、総貯水容量8万8000立方b。大月町の貝ノ川水系谷の奥川に建設する。第2ダムの本体実施設計はエイト日本技術開発高知支店(高知市)が担当した。
貝ノ川流域では01年の「西南豪雨」などたびたび洪水に見舞われ、流域面積が小さく渇水期に時間断水を強いられることもある。そのため上流部に春遠第1ダムと春遠第2ダムを建設する。第1ダムが洪水調節、流水機能維持、上水道用水の確保の三つを機能目的とするのに対し、第2ダムは洪水調節のみが目的。
第2ダムの起業地内は公図と現地が大きく異なる「地図混乱地」が確認されており、用地調査・買収までに必要となる期間を精査した結果、全体工期の延長が必要となった。また、施工計画の詳細検討や工程精査、働き方改革関連法(週休2日)を考慮した工程見直しも工期延長の理由となっている。
全体事業費の増額では、第2ダムの流入土砂対策追加やグラウト施工増量に伴う増額の他、第1ダムと同様の理由で予見不可能な将来の事業費変動要因(残余リスク)に対応するため残事業費の10%を見込む「リスク対策費」、残土処分場所の変更、週休2日による工事費の補正などが主な要因となっている。
提供:建通新聞社