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北海道建設新聞社
2024/02/02

【北海道】ラピダス契機に千歳で賃貸マンション需要が急増

 ラピダス(本社・東京)による次世代半導体工場建設に伴い、千歳市内で工事関係者らの賃貸マンション需要が急増している。道内外の不動産業者が賃貸供給に乗り出した。建設地は、これまでのJR千歳駅周辺から北信濃など交通利便性の高い郊外へと広まりを見せている。
 千歳市中心部では、新築中の賃貸住宅や解体の現場があちこちで目に入る。セントラルリーシングシステム(本社・札幌)は、幸町4丁目の千歳タウンプラザ跡地に賃貸マンションを新築中。RC造、10階、延べ7958uの規模で、ファミリー層を対象に2LDKと3LDKで計96戸を供給する。
 アトラスグループ(本社・札幌)は、千歳市役所に近い朝日町で、RC造、5階、延べ1313u、29戸の共同住宅2棟の新築を進めている。
 「半導体工場稼働後の居住者や出張者の全貌は把握できないが、多様な滞在者に提供できるように幅広く提供したい」。アルファコートの担当者は、ラピダス需要だけでなく、コロナ禍からの回復による観光ニーズにも目を光らせる。同社は賃貸マンション6棟、ホテル2棟の新築をそれぞれ検討し、ことしから順次着手する考えだ。共同住宅については、約200戸を供給する計画。ホテル開発は、JR千歳駅徒歩圏の幸町4丁目と5丁目で構想している。
 札幌圏の不動産事業者による開発がほとんどだが、最近では他地域からの進出も増えてきた。遠軽町に本社を置く渡辺組ホールディングスは、春日町にRC造、5階、延べ2286uの共同住宅を4月にも着工する予定だ。オホーツク管外で不動産賃貸事業を展開するのは初めてとなる。
 福岡県を中心に不動産の企画・開発などを展開するウェルホールディングス(本社・福岡)は、朝日町と東雲町でマンションを新築。どちらもRC造、5階、延べ1600uの規模とする。同社の担当者は「住宅需要が増えるため、前倒しで計画を進める」と話し、今後の開発にも意欲を見せる。
 千歳市内での賃貸マンション開発は、ラピダスが半導体工場進出を正式表明した23年3月を機に勢いを増している。石狩振興局への建築確認申請(23年11月末時点の判明分)によると、共同住宅(アパート・マンション)は20棟361戸あり、22年度の16棟276戸を上回る。今後も開発案件が控えていることから、前年度と比べ倍近くの供給戸数が見込まれる。
 大和ハウス工業は、北信濃631の24ほかに16棟96戸を供給する。建設地は市街化調整区域だった所だが、23年3月に市街化区域となり、同12月に土地9266uを取得した。春から順次着工し、全棟の完成は25年2月ごろになる見通しだ。
 複数の不動産関係者によると「ラピダスは従業員の自動車通勤を控える考えを持っている」と話す。
 北信濃地区は最寄りのJR長都駅から2・5q程度の距離だが、バスによる中心部などへの交通利便性が高い地域。空港や自衛隊など関係者の住宅需要があり、事業用地として注目される。郊外エリアでの賃貸住宅ニーズを捉える動きが活発化している。