建通新聞社
2024/02/01
【大阪】APIRの経済波及効果試算 府・市に説明
アジア太平洋研究所(APIR)の稲田義久APIR研究統括/数量経済分析センター長は1月29日、1月24日に発表した大阪・関西万博の経済波及効果の見通しを、2025年大阪・関西万博推進本部第9回会議の場で、吉村洋文大阪府知事と横山英幸大阪市長に説明した。稲田センター長は、「拡張万博」の重要性を示すとともに、「万博は人類共通の課題解決を提案する場。大阪・関西万博を開催することには重要な意義がある」と強調した。
拡張万博とは、万博のテーマや時間軸、空間軸の概念を拡張し、関西全体を仮想的なパビリオンに見立てて、万博本体では実現しにくい事業も含めて経済活動を展開する取り組みを指す。具体的には万博の開催時期に、夢洲以外の地域で開催されるイベントを想定している。
APIRの試算では、大阪・関西万博の経済波及効果は基準ケースで2兆7457億円。また、拡張万博による宿泊客の泊数増加を想定したケースで3兆2384億円、泊数増加に加えてリピーターの増加を想定したケースで3兆3667億円が見込めるとした。
一方で、試算はサービスを滞りなく供給することが前提とし、そのためには建設業でのDXや交通におけるMaaSの活用が重要だと指摘。加えて海外の旅行者に興味を持ってもらうためにも、万博と絡めた旅行コンテンツの磨き上げが重要とした。
吉村知事は、「投資する金額よりもはるかに大きな経済波及効果があること、またさらに拡張する可能性があることが分かった」と述べ、「この試算を参考数字として、府民に対する説明の際に活用していきたい」と話した。
また、横山市長は拡張万博という考え方に理解を示し、「万博会場や時期にとらわれず経済波及効果を広げていきたい」と述べた。また、「今回示された経済波及効果とは別に、民間投資が進めば更なる効果が見込める」と話し、投資促進に意欲を示した。