名古屋市住宅都市局は、今池、星ケ丘、本山など市内23地域拠点を対象に、指定の都市機能を導入した場合のインセンティブを導入する考えだ。市はこれまで、都心域を対象とした容積率緩和制度を導入済みだが、コンパクトシティ化を促進するため、容積率割り増しを地域拠点にも拡大する。この他、東部丘陵地区で敷地の細分化抑制と集約化促進を図るための施策を導入する。2024年度の早期に公聴会などを通じて住民意見を聞いた上で、12月ごろにも都市計画案として取りまとめる見通しだ。25年2月ごろの都市計画審議会に諮り、24年度内の都市計画決定・告示するスケジュールが有力。
土地利用計画の見直し素案によると、割り増し容積率を導入するのは、地域拠点(鉄道駅400b圏域)のうち、商業系用途地域、指定容積率400%以上の区域で、全体で約406fが対象になる。
23地域拠点のうち、今池、星ケ丘、本山、大曽根、御器所、桜山、八事、神宮前の8区域は、大学・イノベーション施設などの国際・産業交流施設を含む、誘導すべき用途を建築物に配置する場合に容積率を割り増す。
黒川、上小田井、中村公園、八田、新瑞橋、日比野、高畑、港北、港区役所、笠寺、小幡、徳重、鳴海、藤が丘、平針の15区域は、誘導すべき用途を配置する場合が対象。
全区域で対象となる誘導すべき用途は、▽文化・スポーツ交流施設(多目的ホール、博物館、図書館など)▽子育て・高齢者交流施設(児童館・福祉会館)▽拠点的な医療施設(一般病床200床以上の病院)▽拠点的な行政サービス施設(区役所)▽まちの魅力や利便性の向上に資する施設(沿道のにぎわいを生み出す商業文化施設など)―としている。
対象建築物は、誘導すべき用途が含まれる建築物で、建築面積200平方b以上。割り増し容積率は、誘導すべき用途に使用する部分の容積率。上限は、指定容積率を50で除し、50を加えたパーセントとする。例として、指定容積率500%、敷地面積1000平方bの敷地に誘導用途600平方bを整備した場合は容積率を560%に割り増す。
東部丘陵地区の対象区域は、第1種低層住居専用地域(建ぺい率30%、容積率50%)のうち、特別緑地保全地区と未整備都市計画公園緑地を除く区域の約472fが対象。特別用途地区(特別低層住居専用地区(仮称))の指定を行い、敷地を集約化して敷地面積300平方b以上の一戸建て住宅(二世帯住宅を含む)を建てる場合に、建ぺい率を40%、容積率を60%に緩和する。
過度な市街地拡大を抑制しつつ、既存住宅地に新たな特別用途地区を指定することで、敷地の細分化抑制と集約化促進を図り、居住密度の上昇を抑え、ゆとりある環境を維持・創出するのが目的。
この他、用途地域と土地利用の現況が乖離(かいり)している区域の見直し(面積約69f)、道路や公園整備に伴う変更(同約11f)、用途地域境界部の地形地物の位置変更に伴う変更(同約13f)も併せて行う考えだ。
提供:建通新聞社