九州防衛局熊本防衛支局は22日、自衛隊施設の強靭化に向けて計画している県内の事業内容を明らかにした。2024年度は約111億円の予算案を盛り込み、このうち約50億円を海上自衛隊鹿屋航空基地の最適化総合設計と技術協力業務等に充当。ECI方式を採用し、25年度以降に500〜700億円規模の大型工事を発注する見通しだ。
防衛力整備計画(23〜27年度)に基づいた自衛隊施設の強靭化は、@最適化事業(マスタープランに基づく既存施設の更新等)A災害対策(津波、浸水・法面崩壊防止、飛行場の液状化対策等)B司令部の地下化等(火薬庫の整備含む)C部隊新編・新規装備品導入に伴う施設整備−などを柱に実施。国は5カ年で約4兆円の計画額を示し、整備を推進する方針を打ち出している。
本県関係の24年度予算額(案)は約111億円。内訳は、鹿屋航空基地の約50億円をはじめ、陸上自衛隊では瀬戸内分屯地の約25億円、航空自衛隊では沖永良部島分屯基地の約8億円−などがある。
最適化事業の柱となる鹿屋航空基地は24年度、既存施設の建て替え(格納庫、倉庫、整備場ほか計12棟約6万5000u)や改修(隊舎、史料館、局舎ほか計9棟約2万u)に向けた総合的な設計に着手する予定。公募型プロポーザルの実施要領を2月にも公告する。
鹿屋航空基地の工事は、500〜700億円程度の大型発注となる見通しで、設計段階から施工者の技術力とノウハウを投入するECI方式を採用。JV結成に当たっては、地元企業が参加しやすいよう施工実績等の要件を緩和する。
■地元活用へ要件を緩和
同日、鹿児島市の県建設センターで業界向けの説明会を実施。県建設業協会、県建築協会、県電設協会、県管工事業協同組合連合会、県空調衛生工事業協会の会員企業等から約70人の関係者が参加した。
防衛省からは、野ア清隆熊本防衛支局長のほか、井上主勇大臣官房審議官らも来鹿。「地元企業にふるって参加してもらえるよう、要件を緩和した発注に努める」「事業のピークが馬毛島の整備と重ならないよう配慮したい」などと述べ、円滑な事業執行に向けて協力を呼び掛けた。