東日本建設業保証富山支店は18日までに、2023年度第3回「建設業景況調査」の実施結果をまとめ、公表した。
景況調査は、建設企業の景気動向を総合的に迅速かつ的確に把握することを目的に実施しているもの。
経営動向(地元建設業界の景気、受注、資金繰り、金融、資材、労務および収益の状況)と経営上の問題点について、毎年3、6、9、12月にそれぞれ郵送でアンケート調査を行っている。
調査に際しては、同社と取引関係のある建設企業から、地区別と業種別、規模別の分布状況を考慮し、経営動向を反映するに足りると認められる企業を対象とし、原則として固定している。
今回の県内回答企業数は計63社で、項目ごとに10月から12月(第3四半期)の今期実績、24年1月から3月までの来期見通しを算出した。
項目別のB・S・I(景況判断指数)値を見ると、「業況等」の地元建設業界の景気は今期、悪い傾向が続いている。来期も今期と概ね同様の傾向が続く見通しであり、景気の先行きに対し、悲観的な回答を寄せる企業が大勢を占めた。
今期の「受注総額」は、減少傾向が顕著に弱まった。減少傾向は民間工事でやや弱まり、官公庁工事ではかなり弱まった。来期の受注総額は一転、減少傾向が著しく強まる見込みであり、特に官公庁工事では減少傾向がより強まる見通し。
「資金繰り」は今期、厳しい傾向が弱まっており、来期も今期と同様の傾向が続くもようだ。
今期の「金融」は、銀行等貸出傾向で容易な傾向が弱まり、短期借入金利は上昇傾向が弱まった。来期の銀行等貸出傾向は、今期と同様の傾向が続く見通しで、短期借入金は減少傾向、短期借入金利は上昇傾向がそれぞれ強まる見込み。
また、「資材」の関係は今期、資材の調達で困難な傾向がかなり弱まっており、B・S・I値マイナス7・0は、21年6月に記録したマイナス5・5以来の水準。今期の資材価格も上昇傾向が弱まった。来期は資材の調達、価格とともに今期と概ね同じ基調となる方向だ。
今期の「労務」は、建設労働者の確保で困難な傾向が続いており、賃金も上昇傾向が続いている。来期は、労働者の確保で困難な傾向がかなり強まる見通しで、賃金も上昇傾向が続く見込み。
「収益」は今期、減少傾向が弱まった。減少の理由では、『完成工事高の減少』が群を抜いてトップ。次いで『資材価格の上昇』と『下請代金の上昇』、『人件費の上昇』が同率で並び、続いて『発注単価の低下』となった。来期の収益は一転、減少傾向が強まるもようだ。
今期の経営上の問題点は、『人手不足』が依然トップ。以下、『従業員の高齢化』、『受注の減少』、『資材価格の上昇』、『下請けの確保難』の順で、前回の調査と比較して、順位の変化は見られなかった。
なお、自社の業況は今期、悪い傾向が強まっており、来期は悪い傾向が一層強まる見通し。来期のB・S・I値マイナス18・0は、17年6月以来の水準となる。