輪島市は26日、老朽化した公営ホテル「能登・門前ファミリーインビュー・サンセット」(門前町千代)の今後の運営に関する説明会を開催した。市側は、厳しい財政状況や約13億6000万円に上る多額の改修費などを踏まえ、来年3月末で営業を中止し、民間事業者に土地・建物を売却する方針を示した。年明け以降に売却先の公募に向けた準備を進める。
門前会館で開かれた説明会には地区住民ら約100人が参加した。坂口茂市長らが、施設廃止や民間事業者への売却に理解を求めた。現在は、市が100%出資する指定管理者の日本海むら開発公社(理事長・中山由紀夫副市長)が運営を担っている。
能登・門前ファミリーインビュー・サンセットは1991(平成3)年にオープンした。建物はS造一部RC造・W造、地下1階地上2階建てで、延べ床面積2684・43平方メートル。客室やレストラン、コンベンションホール、浴場「門前じんのびの湯」、コテージなどを備え、ペデストリアンデッキ(高架型歩道)が設置されている。県能登島ガラス美術館などを手掛けた世界的な建築家毛綱毅曠(もづなきこう)氏(1941〜2001年)が設計した。
市側は、ビュー・サンセット、じんのびの湯両施設を合わせた今後の年間収支が約4700万円の赤字となり、派遣職員など人件費に委託費を含めると約6700万円の経費が必要になる見通しを示した。利用者の減少や建物の老朽化への対応などを総合的に判断し、廃止を決めた理由を説明した。