時間外労働規制へ取組 運用徹底へ各事務所・建協対象にキャラバン 九州地方整備局は、2024年4月からの時間外労働規制の建設業への適用を踏まえ、生産性向上による時間外労働削減に向けて運用基準を再構築した。『土木工事書類省力化ガイド』など五つの運用基準を改正した上で、一体的に運用する(5ルール改正とパッケージ運用)。この取り組みを受発注者双方に徹底するため、地域ごとの説明会(キャラバン)を行うことにし、初弾を25日に宮崎河川国道事務所・宮崎県建設業協会に対して実施。本年度中に、管内各事務所・各県建設業協会に対して行う計画だ。
改正したのは、省力化ガイドと、いきいき現場づくり、設計変更ガイドライン(工事/業務)、土木工事施工条件明示の手引き、工事一時中止に係るガイドライン―。さらに、これら5ルールの理解を促す『工事の適正執行のための勘所』を作成した。
「勘所」では、設計・積算段階で、適正な工期・価格、変更対応も視野に入れた条件明示の重要性を指摘。特に工期・価格では、複数の班で施工する工事は必要な経費を計上するなど、工期設定支援システムの活用徹底を求めている。
施工段階にウィークリースタンス 10書類検査 施工段階では、日々のコミュニケーションによるものづくり=A円滑な協議対応などを指摘。すべての工事でASP(情報共有システム)を活用し、書類を電子化。工事工程のクリティカルパス(全体工期に影響する作業)を共有し、受注者の責によらないケースは、適正に工期・費用を変更。業務段階で進んでいる「ウィークリースタンス(一週間の受発注者相互のルール・約束を定め計画的に履行)」を、施工でも採用するほか、早々に技術副所長などを含めた協議を進め、資料作成などの役割分担を明確化し、施工者に必要以上の情報を求めないことを確認。完成検査の際も、「検査書類限定型(10書類)」を活用して省力化するとした。
このほか、設計変更について▽変更が3割を超えたことを理由に「変更に応じない」「打ち切り竣工」はあってはならない▽一方的な当初数量減は厳に慎む▽過去の事例に関わらず、適切な理由で竣工されたものは設計変更の対象とする―ことを明記。
生産性向上のため、▽特車などで運搬可能なプレキャストは、現場打ちとの経済比較なしに採用可能▽大型プレキャストも、工期や技能者数、安全性などのVFM比較で優位ならば導入可能―と規定した。
技術者の交代についても、▽病気・死亡・退職▽受注者の責によらない工事中止や大幅変更▽品質・出来形管理が必要な工種完了など工程上一定の区切りと認められる―などでは、監理技術者が交代できることを周知。この際、交代前の技術者と同等以上の技術力を確保できなくても、競争参加資格を満足すれば交代可能。また、前任技術者と同等の技術力で工事が実施されれば工事評定は減点しないとした。
九州地整では、5ルールの周知とともに、運用状況・改善点などの情報収集により、迅速なフォローができるよう、24年度末までの期間限定で、出張所長・監督官の代表者と連携したOODAループ(観察→状況判断→意思決定→行動)を構築して集中管理していく方針だ。