県県土整備部は25日、2023年度第2回県土整備公共事業評価審議会(会長=轟朝幸・日本大学理工学部交通システム工学科教授)を、県庁中庁舎4階県土整備部会議室を本部としてウェブ会議形式で開催した。審議案件は「社会資本整備総合交付金(河川事業)二級河川海老川水系海老川・飯山満川」など再評価5件で、いずれも事業継続が了承された。同事業は、19年に策定した海老川水系河川整備計画に基づき、飯山満川から海老川調節池への導水路の整備が必要になったことから、再評価に当たり6・2億円増額し、総事業費を633・4億円とした。今後は、調節池建設時に発生する掘削土砂の他工事への流用などを検討し、コスト縮減を図る。
海老川は、流域面積約27・2q2の二級河川。事業区間は河口から八栄橋までの2670m。飯山満川は、海老川の左支川で、流域面積約5・45q2。事業区間は海老川合流点から二級河川指定上流端までの2800m。いずれも目標治水安全度に50o/hを設定し、河道拡幅、掘削、調節池整備などを進めている。事業期間は1976〜2038年度。
23年度末の事業費ベースの事業進捗率は約57%。用地・補償進捗率は約77%。
費用便益費(B/C)が7・6(残事業1・3)で、市街化の進展が見込まれること、浸水被害の低減を図る必要があること、海老川調節池の用地取得が95%まで進み、暫定掘削も実施しているなど事業の進捗が見込まれることから「事業を継続する」とした。
そのほかの審議案件は「社会資本整備総合交付金(道路事業)主要地方道成東酒々井線八街バイパス」「社会資本整備総合交付金(街路事業)都市計画道路3・3・3号藤崎茜浜線」「事業間連携砂防等事業(砂防事業)砂防指定地・大川」「事業間連携砂防等事業(地すべり事業)地すべり防止区域・平群」。
成東酒々井線八街バイパスは、八街市大木を起点、八街市八街ほを終点とする延長1・7q、幅員16〜22mの第3種第2級道路。1993年度に事業化された。2023年度末の事業費ベースの事業進捗率は約95%。面積ベースの用地進捗率は約99%。
総事業費について、19年度の再評価から1億円(水道管移設費用の追加0・6億円、物件補償費の増加0・4億円)増の45億円とした。また、用地買収に時間を要したことから事業期間を5年延伸し、28年度までとする。
B/Cが1・8(残事業14・4)であるほか、渋滞の緩和や歩道利用者の安全性の向上に寄与することから「事業を継続し、効果の早期発現を目指す」とした。
藤崎茜浜線は、習志野市鷺沼台2の延長635m、幅員22〜40mの第4種第1級道路。1997〜2025年度にJR総武本線および京成本線などとの立体交差(跨線橋)を含むバイパスの整備を進めている。総事業費は150億円。
23年度末の事業費ベースの事業進捗率は約55%。面積ベースの用地進捗率は約95%。
B/Cが1・2(残事業3・4)であるほか、渋滞の緩和や歩道利用者の安全性の向上に寄与することから「事業を継続し、効果の早期発現を目指す」とした。
大川は、南房総市の延長1460mの砂防指定地。09年度に事業化された。23年度末の事業費ベースの事業進捗率は約56%。
総事業費について、人件費や材料費の高騰、河床洗堀による追加工事や対策工の見直しにより3・6億円増の9・4億円とした。また、進入路が耕作地であり、耕作期間外での工事となること、工事制約や地権者との調整に時間を要したことから事業期間を2年延伸し、28年度までとする。
B/Cが1・93(残事業1・17)であるほか、土石流発生時の人的物的被害への懸念、地元から早期対策が望まれていることから「事業を継続する」とした。
平群は、南房総市の指定面積211・7haの地すべり防止区域。保全対象は人家24戸、県道鴨川富山線3971m。08年度に事業化された。事業費ベースの事業進捗率は約50%。
現地で新たな地すべりの兆候が確認されたことから、追加の調査・対策工費など3・4億円を増額し、総事業費6・8億円とした。また、追加事業分の期間を5年延伸し、28年度までとする。
B/Cが1・97(残事業4・24)であるほか、地域防災や生活経済への影響、地すべりの危険性が高く地元からの要望も強いことから「事業を継続する」とした。