横浜市教育委員会は、中村小学校など7校の長寿命化工事に向けて、2024年度にモデル校を1校選定し基本構想レベルの設計業務を委託する見通しだ。学校の長寿命化工事は初めての試みとなるため、委託の成果を踏まえて、25年度以降の進め方を決める。
モデル校の候補は、▽中村小(南区中村町4ノ269ノ1)▽蒔田小学校(南区蒔田町1020)▽桜台小学校(保土ケ谷区桜ケ丘1ノ13ノ1)▽間門小学校(中区本牧間門29ノ1)▽金沢高等学校(金沢区瀬戸22ノ1)▽東戸塚小学校(戸塚区吉田町88)▽戸塚中学校(戸塚区戸塚町4542)―の7校。21〜22年度に構造躯体等劣化調査を行った。
市は、校舎の耐用年数である築後70年を超えるまでに工事が完了するよう、17年度から建て替え事業を進めてきた。これまでに、学校敷地や周辺道路が狭いため、物理的に建て替えが困難な学校があることが判明。加えて、市は人口減少に突入し、事業費の平準化も図る必要がある。
こうした状況を踏まえ市は、6月に建て替えの方針を見直した。耐用年数を70年以上とした上で、最終的には建て替えを行うものの、学校によっては長寿命化と大規模改修により校舎を長く使用し、事業費を平準化する考えを示した。
長寿命化工事に向けて、21年度から構造躯体等劣化調査業務を各年数校ずつ実施している。構造躯体等劣化調査では、まず、コア供試体を複数本採取して圧縮強度試験などを行う。結果を基に、日本建築センターで耐用年数評価を実施。コンクリート構造物が適当な強度を保ち、安全に使用できる年数を割り出す。
21〜22年度に耐用年数評価を実施した中村小学校など7校では、築年数が70年を超えて使用しても構造的に問題がないことを確認した。
長寿命化工事としては、コンクリートの中性化や鉄筋の腐食対策など構造躯体の劣化対策を行う。加えて、設備の更新や間取りの変更などの大規模改修も必要に応じて実施。基本構想では、これらに掛かる事業費などを概算するとともに、工事の施工計画も検討する見込みだ。
〜23年度は生麦中など5校で調査〜
構造躯体等劣化調査は、継続して実施する。本年度は、生麦中学校など5校の調査をアサノ大成基礎エンジニアリング南関東事務所(横浜市磯子区)に委託した。履行期限は24年3月29日。
対象校は次の通り。
▽生麦中学校(鶴見区岸谷2ノ1ノ1)▽港南中学校(港南区港南中央通6ノ1)▽白根小学校(旭区中白根1ノ9ノ1)▽希望ケ丘小学校(旭区中希望が丘124)▽大正小学校(戸塚区原宿4ノ17ノ1)
提供:建通新聞社