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建通新聞社
2023/12/20

【大阪】23年度リニア中央新幹線建設促進大会開催 

 奈良県、大阪府、三重県、経済団体などは12月18日、2023年度三重・奈良・大阪リニア中央新幹線建設促進大会を奈良市内で開き、リニア中央新幹線全線の一日も早い開業に向けて、協力して取り組むことを確認した。大会には、山下真奈良県知事、吉村洋文大阪府知事、一見勝之三重県知事の他、国土交通省の村田茂樹鉄道局長、JR東海の丹羽俊介代表取締役社長らが参加。事業の進捗について情報共有した他、それぞれの立場からリニア開業への強い思いを話した。この中で吉村知事は、新大阪駅周辺へのターミナル駅の整備を強く求めた。
 吉村知事は、「大阪から東京の間が1時間でつながる重要な国家プロジェクト。東西2極の1極を大阪、関西が担うことが重要だ」と話すとともに、ターミナル駅の位置について「新大阪駅以外にないと考えている。西日本のハブ拠点として成長させていく」とし、新大阪駅周辺に新駅を整備すべきとの考えを強調した。
 これに対し、JR東海の丹羽社長は「大阪新ターミナル駅の位置は、乗り継ぎの観点から新大阪駅を有効な候補地と考えているが、まだ確定事項ではない。駅周辺の地質データなどを基に技術的な検討を進める」と話した。
 現在の新大阪駅周辺に巨大ターミナル駅を建設する場合、既存駅の運営や北陸新幹線乗り入れ計画、周辺開発などとの兼ね合いにより、長期間の工期を要する高難易度の工事になることが予想され、課題解決に向けて検討中だという。
 また丹羽社長は、現在工事が本格化している品川〜名古屋間のうち、静岡工区が未着工であることに言及。さらに、「工事の一定期間、例外的に静岡県外に流出するトンネル湧水と同量を大井川に戻す方策を策定し、関係者に了解をもらった。大井川上流の田代ダムを活用するため、東京電力リニューアブルパワーと基本合意に向けた協議を進めている」と述べた。
 静岡工区は、南アルプスのトンネル工事で大井川の流量が減ることを不安視した川勝平太静岡県知事の意向により、着工できない状況が続いている。当初の計画では、品川〜名古屋間の開業時期を27年と見込んでいたが、27年以降に見直した。これにより、名古屋以西の路線を含む全線開業時期が遅れるのではないかと懸念する声も上がっている。
 一見知事は、「日本の人口が減っていく中、経済維持のためには革命的な生産性の向上が必須となる。リニアはその切り札だ。一日も早くリニアを完成し、日本の国力を維持、向上させていくべき」と開業の重要性を話し、各自治体の協力体制の強化を求めた。
 山下知事は「品川〜名古屋間の開業の遅れが名古屋以西にも響かないよう、静岡工区を含めた迅速な工事の進捗を期待する」と話すとともに、JR東海による環境影響評価の着手を喜んだ。
 JR東海は、12月5日に奈良県大和郡山市の県郡山総合庁舎周辺、6日に三重県亀山市のJR井田川駅周辺でボーリング調査を始めた。いずれも各県の駅候補地の一つ。計画段階環境配慮書の作成に向け、概略ルートと駅位置を絞り込むための調査の一環となる。