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建通新聞社(中部)
2023/12/19

【岐阜】白川町 新庁舎整備工事不調の原因を探るA

 ここ数年の物価上昇は、建設事業に大きな影響を与えている。建設資材の価格動向について、建設物価調査会が公表している建設資材物価指数(CMPI)の東京版を見ると、部門別指数の建設総合では20年平均が104・0だったが、21年平均で110・3、22年平均で124・7、23年11月時点では134・8と3年間で約30%上昇している。
 この影響による事業見直しは、国内各地で起きている。滋賀県近江八幡市では、22年7月に一般競争入札(総合評価方式)で公告した庁舎整備工事が資材高騰の影響で不調となり、事業費を当初の約45億5000万円から約61億円にするなど、事業全体を見直した上で23年4月に再公告していた。市と比べると予算規模が小さいため難しいが、同町でも現状を踏まえた柔軟な考え方を取り入れる必要がある。
 今後の事業について、同町の佐伯正貴町長は、12月14日に開かれた同町議会定例会の冒頭のあいさつで「新庁舎の供用開始が当初予定から遅れ、町民には心配をおかけしている」とし、「供用開始の時期は再度調整してから改めてお伝えする」と述べるにとどめた。
 町は12月の不調を受け、事業費の積算や入札条件、工事内容、設計などの見直しと、仕様の変更などの修正すべき点のリストアップを実施しており、内容がまとまり次第早期の再々公告を目指しているが、詳細な時期については未定としている。
 今後の入札について、業界からは、工事発注の直前での「設計と市場価格との適正な価格設定」や「物価スライド条項の運用」、「品質確保のためのダンピング対策」といった物価上昇に対する対応策や品質低下を懸念する声が上がっている。
 同町では今後、大型事業である28年度の供用開始を目標とする施設一体型小中学校の校舎整備事業を控えている。町財政や時間的制限が厳しいからこそ、近年各地で増えているPFI事業の活用といった新たな施策への変換も視野に入れる必要がある。
提供:建通新聞社