近藤秋仁氏(62歳、コンドー住建代表、福井建設工事業協同組合理事長)が、令和5年度の職業能力開発関係の厚生労働大臣表彰に輝いた。受賞した喜びの声を、氏に寄稿いただいた。
今回の賞は私に頂いたというより、福井建設工事業協同組合の先輩たちが立ち上げた後継者育成の一環である「墨付け教室、ふくい棟梁講座」が受賞したものと思っております。
日本伝統建築技術保存会というのがあります。そこの伝統建築技能研修で、持田武夫先生の規矩術の講習を受けました。市販の規矩術の本などで見様見真似で反り隅木の住宅を施工したことはありましたが、そこでの内容は理論的に学習、習得することができて大変勉強になりました。そこで習った規矩術の考え方を微力ながら墨付け教室で教えています。
墨付け教室では、初級コースの刃物の研ぎ方、道具の調整、直し方から中級コースの2級技能士、上級コースの1級技能士合格を目指して月2回土曜日の午後から実施しています。さらに福井県には「ふくいの伝統的民家登録制度」というのがあります。その民家の改修工事ができる大工を目指した「ふくい棟梁講座」というのも同時に開催しております。これは1級技能検定の取得者が対象です。プレカット工法で建てるのがあたりまえになっていて、墨付けをして材料を刻んだ経験の無い若い大工さんにはこれらの教室、講座を受講して福井県の伝統的民家、歴史的建造物、さらには文化財の工事にも関わってほしいと思います。