栗東市は、水道事業における中・長期的な経営の基本計画「栗東市水道事業経営戦略」を改定、内容を公表した。
その中で、投資目標として「基幹管路及び重要給水施設管路の更新率を35%以上」と掲げた。過年度に策定した「水道事業整備計画」に基づき、計画的に予算を措置し管路更新を推進する方針だ。特に、出庭水源地と十里水源地、低区配水池を結ぶ管路は重要度が高いとの認識から、32年度(令和14年度)までに更新完了を目指すことを示した。また、今後の更新については、道路掘削や舗装復旧、老朽管の撤去処分等が不要となる被覆材管内装着工法等の採用や、ダクタイル鋳鉄管より安価な配水用ポリエチレン管への使用材料変更等で投資費用を削減していく考えも表した。
同市の水道事業を取り巻く環境は、人口減少化に加え、節水機器の普及や核家族化による有収水量が減少している。その上、既存施設の老朽化に対する施設更新や耐震化が控えており、多額の費用が必要など、厳しい経営を強いられている。
具体的に見ると、有収水量の減少は、平成17年度をピークに1人あたりの有収水量の減少や大口顧客の地下水への転化などにより減少傾向に転じた。近年では一時的な要因による増加を除く有収水量は横ばいから微減傾向にあり、この状況が今後も続くと想定している。施設老朽化については、管理水道管路(約400q)のうち、耐用年数を経過している管路は約15%程度であるが、計画的に管路更新を行わなかった場合、今後20年間で約60%程度の管路が経年化管路となるため、更新が必要な状況下にある。施設耐震化は、浄水道等水道施設はアセットマネジメントに基づき令和3年度実績で87・3%の耐震化を実施済み。しかし、基幹管路は耐震化率33・7%と、全国平均41・2%と比較しても低い水準にあることから、老朽管更新と併せて耐震化を急ぐ必要がある。
経営状況は、上述した通り施設・管路の計画的な更新を実施するため、どのように財源を確保するかの検討が必要となっている。このことから、収益と経費のバランスを見直し財源構成を再精査していく方針。なお、現在の料金水準では25年(令和7年度)に資金が枯渇する恐れがあるため、24年度(令和6年度)には料金改定を実施する見通しだ。
提供:滋賀産業新聞