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北陸工業新聞社
2023/12/07

【富山】JAS製材の利用拡大を/木造公共建築物講座(特別編)/県、県木連

 富山県と富山県木材組合連合会が主催する「JAS製材木造公共建築講座(特別編)」は5日、富山市のパレブラン高志会館で木材事業者、建築士、工務店などの関係者55人が参加して開かれた。
 はじめに県木連の清水真人副会長専務理事がJAS製材等木材利用拡大に向けた取り組みについて情報提供。清水氏はJAS製材に係る最近の動向を紹介した上で、「建築物省エネ法と建築基準法が改正され、2025年から構造計算が求められる面積基準が引き下げられることは、木造住宅や木材供給体制に大きく影響する可能性がある。強度基準が明確なJAS材へのニーズが高まることに期待したい」と話した。
 引き続き、林業・製材・職人をつないだ地域の木を生かした建物の設計を手掛け、JAS製材の利用拡大にも取り組むアトリエフルカワ一級建築士事務所(東京都)の古川泰司代表が「地域の産業としての木造建築・木材の品質とこれからの木造建築」をテーマに特別講演を行った。古川氏は、「世界的な木造建築ブームに加え、公共建築等における木材の利用促進に関する法律の施行以来、脱炭素社会の実現に向けて公共建築物だけなく、民間にも利用が拡がっている」と指摘。戦後の拡大造林の蓄積をうまく使う一方、「持続可能な建築資源として再造林という視点で、次の世代の森を川上から川下まですべてのプレーヤーで育てていくことがすごく大事。一度荒れてしまった森からは節がない良質な建築材料は取れない。林業は何百年という途切れることのない歴史産物であり、再造林のコストをいかに捻出するかが課題だ」と語った。また、自身が設計し、埼玉県産材とJAS機械等級区分製材100%を実現した桑の木保育園(同県)の事例を紹介した。
 冒頭あいさつに立った松井伸彦県森林政策課長は「建築基準法の改正により、強度が保証されているJAS製材の必要性が益々高まっていくと考えられる。その影響や対応について理解を深めていただきたい」と述べた。

hokuriku